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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
近年しばしば耳にするようになった韓国の食品に「サリミョン」(
)があります。これはインスタントラーメンの麺だけ単品で販売されているものをさし、もとは商品名でしたが、その急速な普及により今や一般名詞となりつつあります。
もともと韓国には「サリ」(
)もしくは「ミョンサリ」(
)といって、
麺料理を作る食材としての「麺」を意味する言葉があります。
作る料理によって、ネンミョンサリ(
:冷麺の麺)、
ラミョンサリ(
:インスタントラーメンの麺)、ククスサリ(
:カルククスや素麺などの麺)、
タンミョンサリ(
:春雨の麺)、
ウドンサリ(
:うどんの麺)など、結合語となってよく使われてきました。
中でもラミョンサリは、インスタントラーメンにして食べるのはもちろんですが、それ以外にも鍋料理や汁気のある煮物などに入れて食べることが多く、さまざまな材料からしみ出た旨味の凝縮した汁を吸ったラミョンサリは、とても人気があります。
インスタントラーメンといえば麺とスープがセットというイメージですが、韓国では麺だけが単品で割安に販売されています。いかにラミョンサリが料理に多用されているかを物語るようです。そしてその商品名「サリミョン」が、「ラミョンサリ」に代わって一般名詞化しつつあります。
日本では「油揚げ麺」、韓国では「ユタンミョン」(油湯麺:
)という正式名称を持つラミョンサリは、「瞬間油熱乾燥法」といって、
麺を油で揚げることにより麺中の水分が瞬時に蒸発して多孔質の乾麺となり、長期保存できるようになるという、
独特な製法で作られています。そして調理の際には、
麺の微孔に汁が入りこむため、迅速にほぐれて火の通りも早いのが特徴です。
■ サリミョンを使った料理
韓国ではサリミョンが様々な料理に使われていますが、サリミョン特有の油気のあるコクが、薬味のよく効いた甘辛い料理と特に相性が良いようです。サリミョンのよく使われる料理には、次のようなものがあります。
・プデチゲ(
)
ソーセージやハム、スパムなどを主材料とし、葱やキムチ、そして必ずサリミョンを入れて作る、甘辛くジャンキーな味のチゲ。プデは部隊すなわち軍隊をさし、米軍から放出された材料で作った、基地近隣を発祥とする料理。
・キムチチゲ(
)
キムチを主材料とし、豆腐や葱、きのこなどが入ったコチュジャン・味噌仕立てのチゲ。具をひとしきり食べた後でサリミョンを入れて煮ると、複雑な旨味の出た汁が麺にからんで美味。
・・タットリタン(
)
鶏肉、じゃがいも、にんじん、葱などを甘辛く煮た、汁の多い煮物もしくは鍋もの。これも、旨味たっぷりの甘辛い煮汁でサリミョンを煮て食べる。
・カムジャタン(
)
豚骨を煮出したスープで甘辛くじゃがいもを煮た鍋。具を食べた後、残った汁でサリミョンを煮て食べる。
・ラッポッキ(
)
トッポッキ(
:
棒餅の甘辛炒め)のように、ヤンニョムの効いた甘辛い汁でサリミョンを炒め煮した、いわば「トッポッキ味の焼きそば」。
あるいは、トッポッキの餅を食べた後、残った汁でサリミョンを煮て食べることも。
その他、サリミョンは、
チャジャンミョン(
)のソースで炒めて「チャジャンミョン味の焼きそば」にしたり、カレー粉を効かせて「カレー風味の焼きそば」にするなど、
フライパンひとつでできる手軽な間食としても庶民の人気を博しています。
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