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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
三方を海に囲まれた朝鮮半島ではさまざまな海草類が豊富に獲れますが、中でもわかめは、地域を問わず全国的に好んで使われる食材で、年間を通してスープや和えもの、炒めものなどとなって食卓に上ります。
わかめは韓国語でミヨッ(
)と言います。わかめのうち、
中ほどの肉厚部位である「茎わかめ」(韓国語ではミヨッチュルギ:
)や、
根元部分の「めかぶ」(韓国語ではミヨックィ:
)なども含めて、韓国ではミヨッと総称されています。
・コンミヨッ(
)
乾燥わかめ。コンは漢字で「乾」と書きます。
マルン ミヨッ(
:乾いたわかめ)とも呼ばれます。湯通ししたわかめを乾燥させたもので、わかめの最も一般的な保存方法です。
丸ごと長いままのもの、薄い部分だけを細長く乾燥させたもの、薄い部分を短くカットして乾燥させたものなど様々な品質・形態のものがあります。
調理に先立ち、水で戻したり下茹で、切り分けるなど、ものによって下処理が必要です。
・センミヨッ(
)
生わかめ。センは漢字で「生」と書きます。
ムルミヨッ(
:水わかめ)とも呼ばれます。
採取後に丸ごと洗っただけの株状わかめである場合と、採取後に洗って湯通しし部位別に切り分けて塩蔵状態にしたものがあります。
前者の場合は、まず大きめの鍋で全体を湯通しする下処理が必要です。湯通しすることにより、褐色だったわかめが鮮やかな緑色になります。後者の場合は、水につけて塩抜きしてから使います。
■ わかめを使った韓国料理
乾燥わかめは肉質がしっかりしていてどちらかというと加熱向き、生わかめは磯の香りが生きていて生食向き、などそれぞれの特徴はありますが、どちらの場合でも下処理の後、部位ごとの特徴を生かして次のような料理に仕上げることができます。
・ミヨックッ(
):わかめスープ
韓国の数あるスープの中で最も基本的なもの。戻したわかめを一口大に切り、ごま油や醤油で炒めて水を注いで煮た後、おろしにんにくや魚醤、長葱などを加えて仕上げます。ダシの出る副材料として牛肉や鶏肉、干し鱈、牡蠣、ムール貝、海老、あわび、ウニなどを加えた、様々なわかめスープがあります。これらを入れる場合は、先にこれらを炒めたところにわかめも入れて一緒に炒め、煮ていきます。沸騰後もしっかり煮込み、とろりと汁が少し濁るくらいに仕上げるのが特徴です。水の代わりに米のとぎ汁を注いだり、えごま粉を加えてコクを出すこともあります。丸鶏や大きな魚(カレイ、甘鯛など)で作るときは、それらを先によく煮込んでダシが出てからわかめを加えます。わかめスープは韓国のソウルフードとも言うべき料理で、誕生日などのお祝いの膳に上るほか、出産した産婦には産後の肥立ちのために毎食欠かさず食べさせるのが習わしとなっています。
・ミヨッ ムッチム(
):わかめの和えもの
戻して一口大に切ったわかめを、醤油、酢、砂糖、おろしにんにく、すりごま、ごま油などで和えます。玉葱や大根、きゅうり、にんじんなどの生野菜を刻んで加えることも多く、また粉唐辛子やコチュジャンを入れて辛く仕上げるタイプもあります。酢(
:チョ)で和えることから、ミヨッ チョムッチム(
)とも呼ばれます。
・ミヨッ ポックム(
):わかめの炒めもの
戻して一口大に切ったわかめを、ごま油、おろしにんにく、醤油などを加えて炒めます。
玉葱や生唐辛子、にんじんを刻んで入れたり、魚醤や味噌で味つけすることもあります。
わかめの中ほどの肉厚部分をこの料理にすることが多く、その場合はミヨッチュルギ ポックム(
:茎わかめの炒めもの)と呼ばれます。
・ミヨッサム(
):わかめの包みご飯
韓国ではご飯やおかず・タレなどを何かに包んで食べるスタイルがよく見られますが、
この料理(食べ方)をサム(
:包み)もしくはサムパプ(
:包みご飯)と言います。包む材料として一般的なものにサンチュやサニーレタス、茹でたキャベツ、ミニ白菜、蕗の葉などがありますが、
その一つにわかめもしばしば使われます。サム用には、わかめの中でも幅広い部分を切り取って使ったり、スェミヨッ(
)あるいはコムピミヨッ(
)という肉厚の品種が使われます。
これは、日本で「かじめ」と呼ばれる海草と似ています。
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