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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国料理にしばしば登場する独特な食材に、ずいきの乾物があります。
ずいきは里芋の茎(葉柄)のことで、日本でも「八つ頭」や「唐の芋」など赤茎系の里芋の茎が食用にされています。
韓国語ではトランテ(
)、
トラン チュルギ(
)などと呼ばれ、地味ながらその鄙びた味わい深さと、煮崩れしにくい独特の食感が好まれています。
ずいきは、里芋の収穫期である晩夏〜秋にかけて産地周辺では生のものが手に入ることもありますが、一般には皮をむいて干した乾物として出回っており、韓国料理でも乾物が主流のため、ここでは乾物のずいきについて言及します。
生ずいきを使う場合は、皮をむいてからアク抜きや調理にとりかかること、煮すぎると歯ごたえがなくなるので加熱を短時間にする、などの注意が必要です。
■ ずいきのアク抜き
ずいきは、品種にもよりますが全般的にアクが強く、そのまま調理すると口やのどを刺激するえぐ味が残ってしまうため、調理に先立ってアク抜きが必要です。アク抜きには次のような方法があります。
・水に晒す:たっぷりの水に浸け、浮き上がらないように重しをて半日から一日ほど置きます。水に重曹や灰を加えるとアクの溶出が促進されます。水に晒した後は、何度も水をとりかえてよく洗います。
・茹でる:たっぷりの湯に塩や酢を加えて30分ほど茹でます。米のとぎ汁で茹でることもあります。茹でた後、水洗いしてよく水に晒します。水に浸した状態で2〜3日冷蔵保存するとさらにアクがよく抜けます。
■ ずいきを使った韓国料理
韓国料理においてずいきはえごまとの相性がよく、ずいきの調理にはえごま油やえごま粉がしばしば使われます。えごまの持つマイルドで独特な味と香りが、ずいきのえぐ味を包み込んでくれるようです。
ずいき料理の種類はさほどありませんが、その中でも王道は炒め煮です。
トランテ ポックム(
)あるいはトランテ ナムルポックム(
)といいます。一般的な作り方は次のとおりです。
@下処理したずいきを食べやすい長さに切り揃えます。
Aフライパンまたは浅めの鍋にえごま油(またはごま油)、醤油、酒、砂糖、おろしにんにく、えごま粉、@を入れて火にかけ、まんべんなく炒めてからダシ汁または米のとぎ汁を注ぎます。ずいきを調味料で和え、少し置いてなじませてから火にかける方法もあります。また、魚醤や干し海老を加える場合もあります。
B沸騰したら火を弱め、ときどきかき混ぜながら蓋をして30分ほど煮含めます。落とし蓋をすると、煮汁が均等に回ってまんべんなく味がしみこみます。
C味をみて薄ければ醤油または塩で味を調え、煮汁がほぼなくなったら、みじん葱を加えて全体をかき混ぜながら煮詰め、仕上げにすりごまをふります。
また、ずいきはユッケジャン(
:牛肉と野菜の辛味スープ)や
ヘジャンクッ(
:牛血と野菜の酔い覚ましスープ)、
カムジャタン(
:豚骨じゃがいも鍋)、ポシンタン(
:犬肉スープ)など濃厚な味のスープにも具材として入れることがあります。こうしたスープにずいきを入れる場合、ずいきは短く切らずに太い部分を手で裂くか細く切るなどし、
薬味調味料で和えておいてから鍋に合流させて煮込みます。
その他、えごまをすりつぶした汁で塩味に仕立てた「トランテ トゥルケタン」(
:ずいきのえごまスープ)や、
慶尚北道の郷土料理「トランテ テンジャンクッ」(
:ずいきの味噌スープ)など、
ずいきを主材料としたスープもあります。
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