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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国料理でよく使われる野菜のひとつに、
青とうがらし(プッコチュ:
)があります。コチュ(
)はとうがらしをさし、
プッ(
)はプルダ(
:青い)やプル(
:草)などの語と関連のある接頭語で、
「青々としている」「未熟の」「初々しい」などの意味を含みます。プッのつく言葉には、
ほかにプッコン(
:青豆)、プンナムル(
:出始めの青菜)、
プンマヌル(
:にんにくの芽や茎)、プッサラン(
:淡い恋)、プンネギ(
:青二才)などがあります。
とうがらしは品種が多く、
辛さの度合いも激辛からまったく辛くないものまで様々ですが、韓国では品種に関わらず青いものをプッコチュ(
)、
赤くなったものをプルグンコチュ(
)、赤い熟果を乾燥させたものをコンゴチュ(
)、
それを粉に挽いたものをコチュカル(
)と呼んで、用途に応じて使い分けられています。
日本でいう「山椒は小粒でぴりりと辛い」と同様の意味で、
韓国では「小さい唐辛子が辛い」(チャグン コチュガ メプタ:
)
ということわざがありますが、大きさで見ると韓国の唐辛子は日本や東南アジアの品種に比べて大きめです。
また辛さから見ると、韓国で1980年代に開発された「青陽[チョンヤン]コチュ」(
)という品種が激辛とうがらしとして有名です。
そして、韓国料理は「赤くて辛い」、すなわち粉とうがらしを多用するイメージがあるかもしれませんが、それと並んで生の青とうがらしや赤とうがらしもよく使われています。生のとうがらし、特に青とうがらしは特有の青々しい香りと突き抜けるような辛味、豊富なビタミン各種が特徴です。
新鮮な青とうがらしは生のまま丸ごと味噌をつけて食べたり、
刻んでチゲ(鍋もの)やスープ、炒めものに加えたり、
細かく刻んでヤンニョム(薬味だれ)に加えたりします。素朴なテンジャンチゲ(
:韓国味噌のチゲ)
に刻んだ青とうがらしが入ると、豆の匂い立つ味噌スープがピリリと引き締まる味になりますし、
塩味のカルククス(
:手切り温うどん)に青とうがらしが入ると、透明な海鮮ダシのスープに爽やかな辛味が加わります。
■
青とうがらし料理
まるかじりする以外は、刻んで副材料や薬味として使われることの多い青とうがらしですが、韓国では青とうがらしを主材料とした料理もあります。その場合、とうがらしの中でも辛味の少ない品種やししとうがらし(
:クァリコチュ)がしばしば使われます。
なお、乾燥とうがらしは一般に種を取り除いて使うのに対し、生のとうがらしはヘタだけとって種ごと使います。
・青とうがらしの薬味和え(プッコチュ ムッチム:
)
食べやすい大きさに切った青とうがらしを、コチュジャンや味噌、おろしにんにく、ごま油などを混ぜ合わせたヤンニョムジャンで和えます。
・青とうがらしの蒸しもの(プッコチュ チム:
)
青とうがらしに小麦粉や米粉をまぶして蒸し、粉とうがらしやにんにく、ごま油などを混ぜ合わせたヤンニョムジャンをかけて全体を和えます。
・青とうがらしの肉詰め焼き(プッコチュ ジョン:
)
縦半分に切った青とうがらしに、下味をつけた挽肉を詰め、小麦粉ととき卵にくぐらせてフライパンで焼きます。
・青とうがらしの甘辛炒め(プッコチュ ポックム:
)
青とうがらしを一口大に切って油で炒め、醤油や水飴を混ぜ合わせた甘辛いたれをかけて仕上げます。じゃこや煮干しと炒め合わせることもあります。
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