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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
日本ではあまり見かけませんが、
韓国では年間を通して非常によく目にする野菜に、えごまの葉があります。えごまの葉は韓国語で
(ケンニプ)といい、
ごまを表す
(ケ)と葉を表す
(イプ)が組み合わさってできた言葉です。
ちなみに、ごま(
:ケ)
には「まごま」(真胡麻:
:チャムケ)と「えごま」
(荏胡麻:
:トゥルケ)があります。
一般によく知られているのは「まごま」のほうですが、韓国では「えごま」も非常にポピュラーな食材で、種子を食べたり搾油するのもさることながら、
何といっても葉を好んで食べるところが特徴的です。
えごまはシソ科だけに、葉はしそ(青じそ)と似た香りがありますが、えごまの葉のほうが葉が大きくて厚く、青じそに比べて香りが弱めです。そのため、青じそのように刻んで薬味として少量加えるような使い方ではなく、一枚丸ごとおかずやご飯を包んで食べたり、キムチや醤油漬けにしたり、ざっと刻んでチゲや炒め物に入れるなど、野菜として様々な料理にふんだんに使われます。
特に、
おかずやご飯を葉野菜に包んで食べる「サム」(
)という韓国独特の食事スタイルにおいて、えごまの葉はなくてはならない食材です
。サムの包み野菜には、ほかにサンチュやサニーレタス、グリーンリーフなどのレタス類や、若取りミニ白菜、茹でた春キャベツ、茹でた蕗の葉、
茹でたかぼちゃの葉など様々なものが使われますが、爽やかな香りとパリッとした歯ごたえのえごまの葉は、ほかの野菜の上にもう一枚重ねて包みたくなるような、
韓国料理における重要な存在といえましょう。
■
えごまの葉を使った料理
上記のとおり、えごまの葉はまずサム(
)の包み野菜として大きな存在感がありますが、ほかにもえごまの葉を主材料とした料理に次のようなものがあります。
・えごまの葉漬け(
+:ケンニプチャンアチ、もしくは
:ケンニプキムチ)
醤油に粉唐辛子、おろしにんにく、すりごま、砂糖、ごま油などを混ぜ合わせたヤンニョムジャンを作り、えごまの葉を数枚重ねてヤンニョムジャンを塗り、空気を抜くようにして漬けたもの。魚醤(
:エッチョッ)をベースにして刻んだ葱、玉葱、青唐辛子、生姜汁などを加えることもあります。キムチといっても発酵させずに漬けたてから味わう料理で、半日ほどおいてなじめば美味しく食べられます。
・えごまの葉の衣焼き(
:ケンニプチョン)
えごまの葉に小麦粉や卵をといた衣をつけ、油で両面焼いたもの。薬味酢醤油(
:ヤンニョムチョカンジャン)などをつけていただきます。同様に衣をつけて油で揚げれば、えごまの葉の揚げもの(
:ケンニプティギム)になります。
・えごまの葉の和えもの(
:ケンニプ ナムル ムッチム)
えごまの葉をさっと茹でて冷水にとり、水気を絞って薄口醤油、塩、すりごま、おろしにんにく、えごま油などで和えたもの。この料理には、立派な葉よりも柔らかなわき芽を摘んだものが適しており、その場合は、新芽を意味するスン(
)を入れて、ケンニプスン ナムル ムッチム(
)とも呼ばれます。また、こうした和えものをさらにフライパンで炒めると、えごまの葉ナムルの炒めもの(
:ケンニプ ナムル ポックムになります。
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