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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国家庭料理の特徴のひとつに、季節の野草・山菜を上手に調理することが挙げられます。特に寒さの厳しい朝鮮半島では、長い冬を越して春先に芽吹く野草こそ、他に代えがたい魅力的な食材という認識があります。
そんな春の野草の卑近なものに、たんぽぽ(
:ミンドゥルレ)があります。たんぽぽは綿毛の種から増殖する一方で、地中深く根を下ろし地上部が枯れても毎年新しく芽を出す宿根草であり、生命力の強い植物です。
そのため朝鮮半島では、かつては日本の帝国主義や民族差別に抵抗する朝鮮民族の象徴、現在の韓国でも逆境に打ち勝つ庶民の象徴というイメージがあるようです。
たんぽぽに限らず、野草料理はまず、水や土壌のきれいな群生地を見つけて摘むところから始まります。野草は独特の苦味や繊維の硬さがあるため、出始めの時期を逃さず柔らかく若い葉を丁寧に摘むことがポイントです。たんぽぽは先述のとおり、宿根草で毎年ほぼ同じ場所に群生するので、比較的手に入りやすい野草と言えます。
■
たんぽぽの和えもの
たんぽぽ料理の代表は、和えものです。生のまま和えるタイプと、さっと茹でてから和えるタイプがあります。どちらも、ミンドゥルレ ナムル(
)、ミンドゥルレ ムッチム(
)、ミンドゥルレ ナムル ムッチム(
)などと呼ばれますが、特に生の即席和えを指してミンドゥルレ コッチョリ(
)と呼ぶこともあります。いずれの場合も、摘んできたたんぽぽの葉をバラバラにして何度もよく洗い、ザルに上げて水を切っておく下準備が必要です。
<生で和える場合>
@下準備したたんぽぽの葉をボールに入れ、ヤンニョムを加えてさっくりと和えます。水が出やすいので、食べる直前に和えるようにします。
<茹でて和える場合>
@鍋に多めの湯を沸かして塩を加え、下準備したたんぽぽの葉を入れてさっと茹でます。
Aすぐ冷水にとり、何度か水を替えながらよくすすぎます。しばらく水に晒してアクや苦みを抜くこともあります。
Bザルに上げて水をきり、さらに手でよく絞って、長ければザクザクと切ります。
Cボールに入れてほぐし、ヤンニョムを加えてまんべんなく和えます。
生の場合も茹でる場合も、和えるときのヤンニョム(薬味だれ)には大きく二つのタイプがあります。
唐辛子酢味噌タイプ(チョコチュジャン:
)
コチュジャン、味噌、酢、砂糖、すりごま、おろしにんにく、ごま油などを混ぜ合わせた、とろりと甘辛く濃厚なタレ。
薬味醤油タイプ(ヤンニョムカンジャン:
)
醤油、粉唐辛子、砂糖、おろしにんにく、すりごま、ごま油などを混ぜ合わせた、さっぱりしたタレ。酢を加えることもあります。
ほかに、たんぽぽ独特のクセを和らげるために、梅シロップやオリゴ糖、レモン汁、魚醤、水飴などを加えて独自の工夫をすることができます。
また、好みで生の唐辛子や長葱、玉葱、細葱、にら、りんごなどを刻んで一緒に和えると、それぞれに複合の味わいが楽しめます。
■
たんぽぽのお焼き
和えもの以外では、たんぽぽの葉を入れてチヂミ状に油で焼いたお焼きがあります。
ミンドゥルレジョン(
)、
ミンドゥルレ プッチム(
)などと呼ばれます。
たんぽぽの葉以外に、にんじんや玉葱の細切りを入れて作ることもできます。
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