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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
ご馳走や名物料理を挙げればきりのない韓国料理ですが、一方で普段着の食卓に目をやると、最も素朴で基本的な食べ物として筆頭に挙げられるのが、テンジャンチゲ(
)です。
テンジャン(
)は味噌、チゲ(
)は鍋ものを意味し、テンジャンチゲはさしずめ味噌汁の韓国版ということができますが、
日本の味噌汁が小ぶりなお椀によそわれたどちらかというと控えめな存在であるのに対し、韓国のテンジャンチゲは汁ものとおかずを兼ね、具も汁もしっかり入った「豚汁」級のボリューミーな存在ととらえることができます。
また、チゲの類は数人分まとめて大きめの鍋で作って取り鉢によそうこともありますが、多くはトゥッペギ(
)と呼ばれる素朴な小型の土鍋で銘々に作り、そのまま卓上へ運んで食べるスタイルが特徴でもあります。
トゥッペギには各種サイズがありますが、いずれも直火にかけて煮炊きできる調理道具であると同時に、
そこから取り鉢によそうことはせず卓上で自分のスッカラッ(
:韓国式スプーン)を入れて直に食べる、食器としての役割も兼ね備えた韓国独特の器具であることがわかります。
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テンジャンチゲの作り方(一般的なもの)
@ダシ汁の準備
テンジャンチゲには煮干しと昆布のダシ汁がよく使われます。煮干しと昆布をしばらく水に浸けてからゆっくりと加熱し、沸騰後しばらく煮出してダシをとります。煮干しだけでダシをとったり、米の研ぎ汁をダシ汁代わりに使ってシンプルに作ることもあります。
A材料の準備
エホバッ(韓国かぼちゃ)、玉葱、豆腐(木綿豆腐が一般的)は一口大に切り、長葱、生唐辛子(青・赤)は斜め切りにします。あさりを入れる場合は砂抜きして洗います。豚肉もしくは牛肉を入れる場合は、切り落とし肉などを準備します。きのこ(椎茸・エリンギ・平茸・しめじなど)やじゃがいもを入れることもあります。
B煮る
トゥッペギなどの鍋にダシ汁を入れ、韓国 味噌(テンジャン)、納豆味噌(チョングッチャン)などの味噌とおろしにんにくを溶き入れて火にかけます。じゃがいも、玉葱を入れて火が通るまで煮た後、エホバッ、きのこ、生唐辛子、長葱を加えてしばらく煮ます。肉を入れる場合は、最初に肉をごま油で炒めたところにダシ汁を注いで煮ていきます。
C仕上げ
あさりを入れる場合は野菜が煮えたところで加え、口が開くまで煮立たせます。味をみて薄ければ味噌を足し、濃ければダシ汁を足すなどして味を調え、最後に粗唐辛子をふって火から下ろします。
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テンジャンチゲの決め手、テンジャン
テンジャンチゲはテンジャンとおろしにんにく、ダシ汁、具の味だけで構成されるシンプルな料理だけに、テンジャンが味の決め手となります。
韓国のテンジャンは、大豆を発酵させたメジュ(
)と呼ばれる味噌玉(豆麹)を塩水に漬けて仕込むため、米麹や麦麹で仕込む日本の味噌よりも豆の香りが強烈で塩分が高いのが特徴です。
また、工場で製造された市販の味噌が主流となった現在でも、韓国では味噌や醤油を伝統的な方法で手作りする家や料理屋がまだ多く、
チプテンジャン(
)と呼ばれるそのような自家製味噌は当然、味がそれぞれ異なります。
他の料理には市販の味噌を使っても、テンジャンの味がストレートに現われるテンジャンチゲにはチプテンジャンを使うということが比較的あり、そこがまたテンジャンチゲの醍醐味といえましょう。
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