キーワードで見る食文化
韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
スペーサー
タットリタン
 空白韓国の代表的な家庭料理のひとつに、ぶつ切りの鶏と野菜を甘辛く煮た「タットリタン」(タットリタン)があります。タッ(タッ)は鶏を意味します。トリ(トリ)は日本語の「鶏」に由来するという説と、空白朝鮮半島の古文献に登場する「桃李湯」(トリタン)というスープを根拠とする説があります。空白タン(タン)は漢字で「湯」と書き、スープを意味します。空白
 似通った料理に、タッチム(タッチム:鶏と野菜の蒸し煮)、タッポックム(タッポックム:鶏と野菜の炒め煮)、空白タッチョリム(タッチョリム:鶏と野菜の煮物)などがあります。空白これらは、李氏朝鮮王朝時代の文献にも料理名が残っており、当時は唐辛子を使わずに、にんにく、しょうが、胡椒、醤油などで味つけしていたようですが、空白現在ではこれらの料理のちがいが曖昧になってきています。空白
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タットリタン
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■ タットリタンの作り方(一般的な方法)
@ 鶏肉の下ごしらえ
鶏は骨つき肉(手羽など)を用意するか、丸鶏を骨ごとぶつ切りにして使います。水や牛乳につけて血抜きしたり、熱湯でさっと茹でるなどの下処理をすることもあります。
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A 野菜の下ごしらえ
じゃがいもは皮をむいて大きめに切ります。にんじんは輪切りや乱切り、玉葱はくし切り、長葱、青唐辛子、赤唐辛子は斜め切りにします。えごまの葉やきのこを入れる場合は、適当に切ったりほぐしておきます。
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B ヤンニョム(薬味調味料)を合わせる
コチュジャン、粉唐辛子、醤油、おろしにんにく、おろし生姜、酒、胡椒などを混ぜ合わせてヤンニョムを作ります。砂糖やオリゴ糖、蜂蜜などで甘みをつけたり、魚醤、オイスターソース、おろし玉葱などを加えることもあります。
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C 春雨の浸水
タンミョン(韓国春雨)を入れる場合は、しばらく水につけてからハサミで適当に切っておきます。
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D 鶏肉を煮る
鍋にごま油をひいて@の鶏肉を炒め、Bのヤンニョムを加えて全体を混ぜながら炒めた後、水をひたひたくらいまで加え、蓋をして30分ほど煮ます。あらかじめ鶏肉にヤンニョムをかけておいたり、鶏肉を炒めずに水煮してからヤンニョムを加えたり、ヤンニョムと水と鶏肉を入れて煮始める場合もあります。
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E 野菜を順次加える
鶏肉が軟らかくなったら、じゃがいも、にんじんを加え、煮汁に浸るよう時々混ぜながら煮ていきます。野菜が柔らかくなってきたら、玉葱、葱、青・赤唐辛子などを加え、煮崩れないように気をつけながら全体を混ぜて煮上げていきます。味をみて薄いようなら、ヤンニョムを足します。タンミョンを入れる場合は、煮汁がある程度残っているタイミングで入れます。煮汁を吸ったタンミョンが透明になったら、煮過ぎないうちに仕上げます。
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F 仕上げ
とろりと柔らかく全体がなじんで煮上がったら、仕上げにえごまの葉を入れ、すりごまや胡椒をふります。
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タットリタン
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 タットリタンの美味しさは、ホロリと骨からはずれる鶏肉、ホクホクと味のしみたじゃがいも、なじんだ野菜、とろりと旨味たっぷりの甘辛い煮汁。これらが複合した味こそ、タットリタンの身上といえましょう。
 そのように美味しく仕上げるには、ヤンニョムの配合は言うまでもなく、加えるヤンニョムの量、水の量、材料の量に対する鍋の広さと深さ、鶏肉の煮かげん、じゃがいもなどの野菜を入れるタイミング、煮詰め具合などが、調理のポイントとなってきます。
 卑近な材料で作るポピュラーな家庭料理でありながら、美味しく作ることはやはり簡単というわけにはいかないようです。
 また、この料理自体は長らく庶民に親しまれてきたものですが、空白その料理名「タットリタン」について、上述のとおり日本語由来説が払拭できないことから空白、韓国国立国語院の国語醇化政策により1980年代に「タッポックムタン」(タッポックムタン)という代替名が新たに作られ、1990年代からはこの語だけを使うことが推奨されています。空白
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タットリタン
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