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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
伝統的な韓国料理ではありませんが、
朝鮮戦争(1950〜1953)後、韓国に駐留する米軍基地から放出されたハムやソーセージなどの食肉加工品をキムチや野菜などとともに辛く煮た、プデチゲ(
)という鍋料理が誕生しました。プデチゲのプデ(
)は
「部隊」すなわち米軍基地を意味し、これらのハムやソーセージはプデコギ(
:部隊の肉)と呼ばれもしました。
厳しい食糧事情だった当時の韓国で、米軍から流れてきたこれらの缶詰類は希少な異国食品でしたが、そのまま食べるにはクセが強かったため、キムチや唐辛子、にんにく、ごま油など韓国式の味つけで調理することによって、ジャンキーで魅惑的なフュージョン料理が生まれていきました。
プデチゲ発祥の地は、
米軍基地のある京畿道・議政府(ウィジョンブ:
)。現在、議政府にはプデチゲ専門店が軒を連ねる「プデチゲ通り」(プデチゲコリ:
)があります。その中でも元祖と言われる店舗は1960年から続く「オデン食堂」(オデンシッタン:
)で、
当初は米軍基地で働く韓国人相手の屋台のおでん屋さんでしたが、お客さんが持ってくる放出品のハム、ソーセージなどをリクエストに応じて炒め物やチゲに仕立てて出したのが始まりだったそうです。
議政府ではほかにもこのような料理を出す店が少しずつ現れ、プデチゲの人気が広がっていきましたが、米軍の放出品を使ったり転売することが厳しく禁止されていた当時、これらの店ではプデチゲを出したかどで警察に連行されることもあったと言います。また、お客さんには好評でも、米軍放出品に対する韓国国民のイメージが否定的だったことと、そんな米軍の食べ残しを寄せ集めて作ったのがプデチゲだという偏見があったため、地元ではそれを払拭しプデチゲを名物料理にするために工夫を重ねてきたといいます。
まず、プデチゲ専門店の並ぶ通りを「議政府チゲ通り」(ウィジョンブ チゲコリ:
)と名付け、さらに市民のアンケート調査を経て2008年、
「議政府プデチゲ通り」(ウィジョンブ プデチゲコリ:
)という名称を堂々と掲げた大型アーチが街頭に建てられました。
それと前後するように、2005年からは毎年のように「議政府プデチゲ祭り」(ウィジョンブ プデチゲ チュッチェ:
)が開催され、2022年10月には15回目を数えました。
また「議政府プデチゲ通り」はその間マスコミやインターネットでも頻繁に取り上げられ、今や押しも押されもせぬ議政府の名物料理となりました。
■
プデチゲの作り方(一般的なもの)
@
ヤンニョム(薬味調味料)を混ぜ合わせる。
味噌、コチュジャン、醤油、酒、おろしにんにく、おろし生姜、粉唐辛子、すりごま、ごま油、砂糖、胡椒、魚醤などの調味料を混ぜ合わせます。
A
具のカット
玉葱は薄切りに、長葱と生唐辛子(青,赤)は斜め切りに、にらは数センチに、キムチと豆腐は一口大に切ります。ハム、ソーセージ、ランチョンミートなどは一口大の薄切りや斜め切りにします。その他、きのこを入れる場合は小房に分けるなどします。
B
大きめの平鍋にAの具を彩りよく並べ入れ、@のヤンニョムを適量かけ、牛骨スープや鶏ガラスープなどのダシ汁を注いで火にかけます。
蓋をしてもよいでしょう。
C
沸騰したら、具全体が汁に浸るようにしてしばらく煮、それぞれの具の味がスープにしみ出て全体がなじんできたら、各自で取り分けていただきます。
※
ラミョンサリ(
)と呼ばれるインスタントラーメンの麺や、
トッ(韓国式餅)、マンドゥ(韓国式餃子)などを入れて、ほどよく煮えたところを食べるのも、
プデチゲの今や基本的な食べ方となっています。また最後にチーズを入れてとろりと濃厚な風味を味わうのも、近年の流行です。
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