HOMEへ
韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国の「焼肉」には、肉の種類や部位、味つけ、焼き方などによってさまざまな種類がありますが、そのひとつに「プルコギ」(
)があります。
プルコギのプル(
)は火を、コギ(
)は肉を指し、もともとは「火で炙って食べる肉」という意味ですが、現在「プルコギ」といえば
、牛の薄切り肉を野菜とともにタレにつけこんで焼く料理のことです。
プルコギは、焼くときの鍋に特徴があります。よく使われるのが、中央が山のように高く、縁がフライパンのように折り返されたジンギスカン鍋に似た鉄鍋です。タレにつけこんでおいた肉と野菜を、熱した鉄鍋に汁ごとのせると、鍋の斜面のところで肉と野菜が焼けるのと同時に、縁のくぼみに美味しい肉汁がたまり、それ一緒にすくって食べることができます。あるいは、すき焼き鍋のような浅い鉄鍋を使うこともあり、その場合も肉と野菜をつけ汁ごと炒め煮のように加熱調理します。
どちらの場合も、焼けた肉をサンチュなどにのせ、ご飯やサムジャン(薬味ダレ)なども一緒に包んで食べるスタイルが一般的です。
■
トゥッペギ プルコギ
プルコギの一種で近年流行しているものに、トゥッペギ プルコギ(
)があります。トゥッペギ(
)とは素朴な韓国式土鍋のことです。タレにつけこんだ牛肉と野菜を一人用のトゥッペギに入れ、だし汁または水を注いで煮た、
具だくさんな鍋料理です。牛肉を炒めてから水を注ぐ場合もあります。ほかに、水につけておいたタンミョン(
:韓国春雨)やきのこ、長葱、生の唐辛子などを入れるのが一般的です。
似たような料理にプルコギ チョンゴル(
)がありますが、こちらは平たくて大きな鉄鍋に牛肉と野菜各種を彩りよく並べ入れて卓上で煮る、
見た目にも豪華な鍋料理です。
トゥッペギ プルコギが、一人用の小さな土鍋で作ってご飯やキムチとともに定食スタイルで供されるのに対し、プルコギ チョンゴルは数名分の具を盛り込んだ豪華な大鍋をグツグツ煮てから小鉢に取り分けていただきます。
■
パッサッ プルコギ
朝鮮半島南部・蔚山[ウルサン]広域市内の彦陽[オニャン](
)地方には、「パッサッ プルコギ」(
)と呼ばれる、汁気の少ない独特なプルコギが伝わっています。「パッサッ」とはカリカリ、パサパサといった乾いた様子を表す擬声語です。
別名、「彦陽[オニャン]プルコギ」(
)、「彦陽式[オニャンシッ]パサップルコギ」(
)とも呼ばれます。
パッサッ プルコギは、ごく薄切りの牛肉をさらに刻んで濃い目のタレで和え、網焼きまたは鉄鍋に薄く広げて焼いた、乾いた仕上がりのプルコギです。一般のプルコギに入れるにんじんや玉葱、きのこなどの細切りの代わりに、みじん切りにした玉葱や長葱を少しだけ混ぜるため、見た目は肉ばかりで、薄く焼いたハンバーグのようにも見えます。
■
テジプルコギ
韓国語で肉(
:コギ)と言えば牛肉(
:ソゴギ)、プルコギと言えば牛の焼肉を指しますが、庶民にはやはり安価で食べ出のある豚の焼肉「テジプルコギ」(
)も人気があります。
テジプルコギは、コチュジャン(
:唐辛子味噌)やにんにく、生姜をきかせた濃厚なタレが特徴的です。
最新のバックナンバーはこちらからもご覧いただけます。
エイ(ホンオ)
ずいき
コプチャン
エホバッ
みずだこ
青とうがらし
えごまの葉
豚皮と豚足
たんぽぽ
干しめんたい(プゴ)
トドッ(つるにんじん)
2006年から掲載しているキーワードバックナンバー一覧が見れます。
TOPへ