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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
日本でもおなじみの韓国料理、ナムル(
)。
ナムルとは、野菜や山菜、野草、きのこ、海草などの「和えもの」の総称です。
「和えもの」といっても、ナムルの実際の調理法は幅広く、素材によって茹でる、
炒める、煮含めるなどの加熱調理とそれに先立つ下ごしらえ、そしてさまざまな味つけがあります。
ナムルの味つけに使われる調味料としては塩、ごま、ごま油、おろしにんにく、
薄くち醤油などが基本ですが、ほかに粉唐辛子や胡椒、みじん葱、砂糖、酢、そしてクセのある素材には味噌、
コチュジャン(唐辛子味噌)、えごまの粉、えごま油、芥子なども使われることがあります。
日本では、ナムルといえば大豆もやし、ほうれん草、にんじん、ぜんまいなどがよく知られていますが、本場韓国ではそれ以外にも実にさまざまな材料でナムルが作られています。季節の素材を生かしたバラエティ豊かなナムルは、メインディッシュにはならずとも、食卓を彩り食べる人の心身を養う優れたおかずとして、あたりまえのように日々の食卓に上ります。
数あるナムルの中でも、
比較的ポピュラーなものを調理法とともに紹介します。なお、料理名としては、「〜(素材名)ナムル」と呼ばれる以外に、
「和えもの」をさすムッチム(
)をつけたり、「炒めもの」をさすポックム(
)
をつけたり、ものによっては「〜ナムルムッチム」(
)などと呼ばれることもあります。
■ 野菜で作るナムル
・大根のナムル(ム ナムル:
)
大根を棒切りにし、ごま油をひいた鍋で塩を揉みこみながら炒め、砂糖も加えて薄味に煮含める。
・ほうれん草のナムル(シグムチ ナムル:
)
ほうれん草を茹でて水にとり、2〜3pに切って水気を絞り、塩、すりごま、ごま油、おろしにんにくなどで和える。
・大豆もやしのナムル(コンナムル ムッチム:
)
大豆もやしを茹でて塩、すりごま、ごま油、おろしにんにくなどで和える。
・もやしのナムル(スッチュ ナムル:
)
※大豆もやしと同様の作り方。
・にんじんのナムル(タングン ナムル:
)
にんじんを細切りにしてさっと茹で、塩、すりごま、ごま油、おろしにんにくなどで和える。もしくは炒めて同様に味つけする。
・きゅうりのナムル(オイ ナムル:
)
きゅうりを小口切りまたは半月切りにし、塩でしんなりさせてから水気を絞り、ごま油で炒めておろしにんにく、すりごま、薄口醤油などで味を調える。あるいは、きゅうりの皮をむいて斜め切りにし、ごま油で炒めて塩、おろしにんにく、薄口醤油などで煮含める。
・なすのナムル(カジ ナムル:
)
なすを縦半分に切って茹でるか蒸し、裂くか薄切りにして水気を絞り、塩、薄口醤油、すりごま、ごま油、みじん葱、粉唐辛子などで和える。
・春菊のナムル(スッカッ ナムル:
)
※ほうれん草と同様の作り方。
・菜の花のナムル(ユチェ ナムル:
)
ほうれん草と同様の作り方。菜の花独特のクセに合わせて味噌やコチュジャン、粉唐辛子を使うこともある。
・ズッキーニのナムル(エホバッ ナムル:
)
ズッキーニ(朝鮮かぼちゃ)を半月切りにし、ごま油で炒めて塩、薄口醤油、おろしにんにく、だし汁などで煮含める。あるいは、さっと茹でてから同様の調味料で和える。
・さつまいもの茎のナムル(コグマスン ナムル:
)
さつまいもの蔓の先端の柔らかい茎を取り、さっと茹でてから味噌、コチュジャン、おろしにんにく、ごま油などで和える。あるいはごま油で炒めて薄口醤油、酒、おろしにんにく、葱、唐辛子などで煮含める。
・芹のナムル(ミナリ ナムル:
)
※ほうれん草と同様の作り方。
なすのナムル(カジ ナムル)
■ 山菜で作るナムル
・わらびのナムル(コサリ ナムル:
)
乾燥わらびをもどし、ごま油で炒めて塩、おろしにんにく、薄口醤油、だし汁などを加えて煮含める。コチュジャンを加えることもある。
・ぜんまいのナムル(コビ ナムル:
)
※わらびと同様の作り方。
・桔梗の根のナムル(トラジ ナムル:
)
桔梗の根を細く切りそろえ、塩もみして一晩水に晒すなどの下ごしらえをする。さっと茹でて塩、おろしにんにく、薄口醤油、ごま油などで和える。あるいは、炒め煮にする。素材の苦味をマイルドにするために、えごま油やえごまの粉を加えることもある。
・つるにんじんのナムル(トドッ ナムル:
)
※桔梗の根と同様の作り方。
・たらの芽のナムル(トゥルプ ナムル:
)
たらの芽を茹でて味噌、おろしにんにく、砂糖、すりごま、ごま油などで和える。コチュジャンや酢を加えることもある。
ぜんまいのナムル(コビ ナムル)
■ 野草で作るナムル
・ふきのナムル(モウィ ナムル:
)
ふきは葉が数センチほどの幼いものを茎ごと取り、さっと茹でて水に晒し、水気を絞って味噌、コチュジャン、おろしにんにく、ごま油などで和える。ふきの苦味をマイルドにするために、えごまの粉やえごま油を使うこともある。
・のびるのナムル(タッレ ナムル:
)
のびるの外皮と汚れた根を取り除いて洗い、醤油、粉唐辛子、酢、砂糖、おろしにんにく、ごま油などを加えて和える。ナムルでは数少ない、生のまま和えるタイプ。
・三つ葉草のナムル(チャムナムル ムッチム:
)
三つ葉草をさっと茹でて水にとり、2〜3pに切って水気を絞り、塩、おろしにんにく、薄口醤油、すりごま、ごま油などで和える。生のままコチュジャンや酢をきかせて和えることもある。
・すべりひゆのナムル(ピルム ナムル:
)
すべりひゆをさっと茹でて水に取り、水気を絞ってコチュジャン、おろしにんにく、すりごま、ごま油、酢などで和える。
・たんぽぽのナムル(ミンドゥルレ ナムル:
)
たんぽぽは柔らかい幼葉だけを摘ん洗う。※のびると同様の作り方。
・なずなのナムル(ネンイ ナムル:
)
※すべりひゆと同様の作り方。
・しらやまぎくのナムル(チュィナムル ムッチム:
)
※ほうれん草のナムル同様の作り方。しらやまぎくの乾物から作る場合は、茹でてよく水に晒した後、水気を絞って和える。
市場で販売されている なずな(ネンイ)
■ 海草で作るナムル
・わかめのナムル(ミヨッ ナムル:
)
わかめを戻して一口大に切り、醤油、すりごま、みじん葱、ごま油などで和える。あるいは、戻したわかめをごま油で炒めて、同様の味つけをする。
・青のりのナムル(パレ ムッチム:
)
生の青のりをさっと洗い、わかめと同様の薬味調味料で和える。乾物の青のりを使う場合は、水で戻してから同様に和える。
・ひじきのナムル(トッ ナムル:
)
ひじきを戻してさっと茹で、コチュジャン、味噌、おろしにんにく、酢、砂糖、すりごまなどで和える。大根やきゅうりの千切りと一緒に和えることもある。
わかめのナムル(ミヨッ ナムル)
■ きのこで作るナムル
きのこのナムルは、ポソッナムル(
)
、ポソッポックム(
)
、ポソッムッチム(
)
などと呼ばれます。
よく使われるきのこは、椎茸(ピョゴポソッ:
)
、平茸(ヌタリポソッ:
)、えのき茸(ペンイポソッ:
)
、エリンギ(ヤンソンイ:
)
などです。作り方は、きのこによって裂くか切り揃えた後、
さっと茹でて醤油、塩、おろしにんにく、すりごま、粉唐辛子、ごま油などで和えます。
あるいは、ごま油できのこを炒めた後、味つけする場合もあります。
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エイ(ホンオ)
ずいき
コプチャン
エホバッ
みずだこ
青とうがらし
えごまの葉
豚皮と豚足
たんぽぽ
干しめんたい(プゴ)
トドッ(つるにんじん)
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