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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
キムチチゲ(
)、
それは韓国家庭料理の基本中の基本、手軽にできて何ということはないが、
いつ食べても美味しく満足感が残る、「おふくろの味」の代表料理といえましょう。
そもそもチゲ(
)とは、
具だくさんの汁もの料理。よく「鍋」「鍋もの」と訳されますが、卓上で鍋をかけて煮ながら食べる料理というよりは、
ご飯とセットで食べる、味の濃い具だくさんスープというイメージです。飲食店ではしばしば、
トゥッペギ(
)と呼ばれる小さな土鍋で一人前ずつ煮て銘々に提供されますが、
家庭では大きめの鍋で家族全員分を煮て小鉢によそうことが多いようです。
具の種類や味つけによって、
ほかにトゥブチゲ (
:豆腐のチゲ)、スンドゥブチゲ(
:汲み豆腐のチゲ)、
テンジャンチゲ(
:味噌のチゲ)、チョングッチャンチゲ(
:豆麹味噌のチゲ)、
プデチゲ(
:米軍部隊流出品を発祥とする、ハムやソーセージのチゲ)などさまざまなチゲがあります。
そんなチゲの中でもキムチチゲは、キムチという複雑な味の漬物が、具と調味料の両主役を兼ねて料理全体をベース作っている、独特な料理といえます。
■ キムチチゲの作り方
では、キムチチゲの一般的な作り方を見てみましょう。
@
よく発酵した白菜キムチを一口大に切る。白菜キムチは、4〜5人前で白菜1/4株分くらいたっぷり使う。
A
豚肉はほどよく脂身の混じった部位を選び、細めの一口大に切る。切り落とし肉でもよい。
B
深みのある鍋で豚肉を炒める。肉の臭みを消すために、酒、胡椒などを加えることもある。
C
肉の表面の色が変わったら、キムチを入れて一緒に炒める。
D
肉とキムチがよく炒められてなじんできたら、米の研ぎ汁または水を注ぐ。煮干しのダシ汁や牛骨スープなどを使うこともある。汁の量は具がひたひたになるくらい。
ここで玉葱の薄切りや、キムチの汁、おろしにんにく、粉とうがらしを加える。
E
沸騰したら火を弱め、蓋をしてしばらく煮る。途中で一口大に切った木綿豆腐と長葱を入れ、アミの塩辛か魚醤または塩で味をととのえる。
■ キムチチゲの特徴
他の料理同様、キムチチゲも家庭や店により、あるいは地方によってさまざまな作り方がありますが、共通することとして次のような特徴を挙げることができます。。
<熟成キムチを使う>
キムチチゲに使う白菜キムチは、浅漬けのものではなく、よく発酵した熟成キムチ、さらには発酵が進んで酸っぱくなったキムチが適しています。そもそも韓国における自家製キムチとは、一度に大量の白菜を甕に漬け込むため、発酵が進むにつれて味が変化していきます。長期保存された最後のほうの酸っぱいキムチと残った汁まで、大切に活用して美味しく食べる知恵が、まさにキムチチゲに詰まっていると見ることができます。
<調味料としてのキムチ>
キムチチゲの味の基本はキムチそのものです。キムチとその汁に含まれる複雑な味が、チゲ全体の調味料となっており、それ以外に加える調味料はほぼありません。それだけキムチにはさまざまな材料が使われており、それらが発酵を経て複雑な旨みと風味をもたらしています。さらに、具としてのキムチの存在は言うまでもなく、煮込んでキムチの味が汁に煮出されても、なおキムチ自体、出がらしとならずに味わいが残ります。
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