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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国の伝統的な調理法において、
スープといえば牛のスープが随一であり、中でも白濁スープであるソルロンタン(
)とコムタン(
)は、韓国を代表する大衆料理の筆頭です。
両者はともに牛を長時間煮込んで塩味をつけたシンプルなスープで、見た目といい味といい、見分けがつきにくい料理です。
■ ソルロンタン
まずソルロンタンですが、「牛の大腿骨を中心に、牛の雑骨や頭、内臓、スネ、関節などさまざまな部位を長時間煮込んで作ったスープ」というのが本来の定義です。
現代の韓国の飲食店では、実際にソルロンタンを仕込むのにそれほど多種類の材料を使うことはまずなく、牛の骨、特に大腿骨を中心に肉片やスジのついた雑骨も加えて、半日〜1日かけてじっくり煮込んで作ります。たくさんの骨を長時間煮込むことにより、白く濁った濃厚なスープができあがります。
■ コムタン
一方、コムタンはコムクッ(
)とも呼ばれ、牛のスネ肉やその他の雑肉、内臓の一部、テール(尻尾の肉)などを煮込んで作ります。コム(
)は、「煮込む、煮出す」を意味するコウダ(
)が語源になっています。
コムタンは材料が肉中心であることから、スープの白濁度が低く、
ソルロンタンよりも高級なイメージがあるようです。
特に、牛テールを煮込んだコムタンは、尻尾を意味するコリ(
)をつけて「コリコムタン」(
)とも呼ばれ、滋養豊かな高級スープとされます。
■ 両者の比較
上記のとおり、ソルロンタンは骨中心、コムタンは肉中心という違いがもともとはありましたが、近年、この違いがあまりなくなってきている傾向があります。つまり、ソルロンタンもコムタンも、牛の骨や肉や内臓を煮込んで作られるようになってきました。唯一、テールで作ったものはコムタンと呼ばれていますが、それ以外はソルロンタンかコムタンか区別が難しいのが現状です。
そして、両者に共通しているのは、食べるときに自分で塩、胡椒、葱などを適量入れて好みの味に仕上げること。たいていの場合、スープに塩味はついていなく、自分で塩味を調えるのです。卓上には塩のほかに胡椒、山盛りの刻み葱なども置かれていて、自分で好きなように入れることができます。
また、韓国のスープ料理には、「コンギパプ」(
)といって、蓋つきのステンレス碗に入ったご飯がついてきますが
、そのご飯を自分でスープに入れて食べるのが基本的な食べ方です。
ソルロンンやコムタンも、スープという範疇に属しながらも、結局はご飯を入れてクッパ(
:スープご飯)にして食べる料理なのです。さらに、ご飯以外にも春雨(
:タンミョン)や小麦粉の細麺(
:ククス)が入っていることもあります。
それから、ソルロンタンやコムタンに欠かせないのが、カットゥギ(
:大根の角切りキムチ)や白菜キムチなどのキムチ類です。
これらは小鉢に入ってセットで提供され、メイン料理を食べる合間に箸休めのように食べられています。
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