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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国の伝統的なデザートのひとつに、スジョングァ(
)と呼ばれる、干柿をシロップに浸けた冷たい飲み物があります。
スジョングァは漢字で「水正果」と書き、ファチェ(花菜)やシッケ(食醯)と同じく、汁と具を同時に楽しむ甘味飲料のひとつです。
■ スジョングァの作り方(伝統的な方法)
@
鍋に生姜の薄切り、肉桂(シナモンスティック)、水を入れて火にかけ、沸騰したら弱火でしばらくコトコトと煮出します。生姜や肉桂と一緒に粒胡椒を入れることもあります。
A
@を漉して煎じ汁を取り、砂糖をとかし入れて一煮立ちさせ、アクを取ります。
B
Aをよく冷ましてから干柿を入れ、ふっくらと膨らむまで何日か置きます。
C
深みのある器にBの干柿とシロップをよそい、松の実をあしらいます。
これが従来の作り方ですが、この方法だと干柿がふやけすぎてシロップが濁ってしまったり、干柿が丸ごと入っていると食べにくいなど、現代の感覚とは少し合わなくなってきました。
そのため昨今では、シロップに干柿を丸ごと浸け込むのではなく、
提供する少し前に小さく切った干柿を入れたり、コッカムサム(
:干柿の種を抜いて代わりに胡桃を詰め、薄く輪切りにした伝統菓子)を1〜2切れ入れるなど、
作り方がアレンジされつつあります。その場合、
生姜と肉桂を煎じただけではシロップに味わいが出ないため、煎じ汁に干柿を一旦浸けた後、ほどよいタイミングで引き上げたり、
煎じ汁とは別に干柿を水に浸けておき、両方の汁を合わせてシロップにするなど、
干柿の味がよく出たシロップを作るために一手間かける方法もあります。
シロップの甘みのつけ方も、白砂糖や三温糖、黒砂糖をブレンドしたり、蜂蜜を加えるなどの工夫が見られます。
よそった後のあしらいには、松の実のほかに棗の飾り切りを浮かべたり、シナモンパウダーをふることもあります。シロップを少し凍らせて、氷片を浮かべることもあります。
■ スジョングァのある風景
スジョングァはもともと、冬の間、人々のどを潤し心と小腹を満たす間食的な飲み物として、あるいは食後のデザートとして、韓国の家庭で作られ、食されてきました。
韓国では近年、
伝統的な食文化を現代的によみがえらせる動きと、カフェブームを背景に、「伝統茶家」(
:チョントン チャッチプ)、「伝統カフェ」(
:チョントン カペ)などと呼ばれるおしゃれなお店がソウルなど都市部で見られるようになり、
スジョングァはそのようなお店のメニューに登場しています。
スジョングァが提供されるときの器は、伝統的な陶磁器の茶碗が多く見られますが、一方で透明なガラスの器も使われます。どちらも、日本の茶器や一般的なティーカップよりも、深さの割に口が広い器がよく使われます。そして、陶磁器であれば同じ肌の受け皿や専用の茶托、あるいは木皿・ミニ盆を下に敷いたり、ガラス器の場合も、布製や紙製のコースターや茶托を敷くなど、粋で高級感のある演出が施されています。
手間をかけて作る高級な飲み物というイメージのスジョングァですが、
その一方で、缶飲料のスジョングァも市販されるようになりました。また、スジョングァ ラテ(
:スジョングァのシロップを牛乳で割ったもの)、スジョングァ ピンス(
:スジョングァかき氷。スジョングァと牛乳・練乳を混ぜてシャーベット状に凍らせ、
器に盛って煮小豆とミニ餅、ナッツなどをトッピングしたもの)など、
スジョングァ味の斬新なデザートも次々と開発されています。
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