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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国の伝統的な餅菓子のひとつに「ウッチヂ」(
)
と呼ばれる、小さくて可愛らしい飾り餅があります。
ウッチヂは、小さな円形に延ばした餅米粉の生地を油で両面焼き、餡を入れてくるんだもので、上になつめや春菊を小さくあしらったり、餅生地自体を食物色素で緑や黄色に色づけするなど、見た目に美しくデザインされているという特徴があります。
ウッチヂは別名ウッキトッ(
)
ともいい、もともとは大きな餅の上に飾りつけるトッピング用の餅として、主に全羅道地方で作られてきました。
現在では、トッピングの域を出て単独の餅菓子としても出回っています。
よく似た餅に雑穀粉を主材料とした「プクミ」(
)があります。
■ ウッチヂの作り方
@
生地を色づけするものを準備する。たとえばクチナシの実を砕いてぬるま湯に浸ける(黄色)。ウチワサボテンの実を水に浸ける(赤色)。トックリイチゴの汁を絞る(赤紫)など。抹茶、よもぎ粉、海藻粉、かぼちゃパウダーなどの粉末商品を使う場合は、下準備がいらないので便利です。
A
もち米粉に塩少々を混ぜ、色の種類に合わせて等分する。
B
Aにそれぞれ熱湯と@で用意した色水や色粉末を加え、よくこねる。@を加える量は、色の濃さや生地の固さを見ながら調節する。
C
Bの生地をちぎって直径5〜6p、厚さ5oほどの円形に形作る。
D
餡を準備する。小豆を柔らかく茹で、余分な水気をきってつぶし、蜂蜜を加えて練り上げる。さらし餡を使う場合は、砂糖や蜂蜜、水を加えてかき混ぜながら火にかける。栗を茹でてつぶし蜂蜜で練って、栗餡を作ることもある。どの場合も、最後にシナモンパウダーを加えて小さな球形に丸めておく。
E
フライパンに油をひき、Cをのせてこがさないように両面焼く。生地に火が通ったら、中ほどにDの餡をのせて両サイドからくるむようにして細長く巻き、砂糖を薄く広げた器にとる。あるいは、餡をのせてから半月形に折りたたんでもよい。
F
餅の上面になつめの飾り切りや春菊の葉、松の実などを形よく飾り、表面に蜂蜜や水飴をぬってはがれないようにくっつける。この工程を、Eで餡をのせる前にすることもある。
■ ウッチヂの由来
ウッチヂは前述のとおり、
もともと大きな餅の上にきれいに並べて豪華な飾りつけを施す、デコレーション的な役割の餅でした。
このような華やかな餅は、伝統的に婚姻や還暦などのおめでたい席に必ず用意されるもので、
特にウッチヂはイバジ ウムシッ(
)といって、婚姻の際に、嫁ぎ先での宴席を華やかにすべく新婦の実家から婚家へ贈る持参品のひとつとされていました。
儒教的な家父長制が強かった時代に、娘が婚家にうまくなじんで可愛がられるよう、新婦の母が心をこめて作ったものが、ウッチヂをはじめとするイバジ ウムシッであったと言われています。
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