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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
「冬至」は二十四節気の22番目にあたり、現在の陽暦(新暦)では12月21日または22日に、陰暦(旧暦)では11月1日にあたります。二十四節気とは、太陽の黄道の位置によって一年を24等分しその分岐日に季節名をつけた暦の一種で、紀元前に中国で考案され、現在に至るまで朝鮮半島や日本でも広く使われています。
冬至の日は、地球から見て太陽が最も南側に位置するため、北半球では一年中で最も昼が短く夜が長くなります。
韓国では11月のことを「トンジッタル」(
)と呼びますが、これは「冬至の月」という意味です。もともと朝鮮半島では、
冬至は陰陽思想上、陰の極みであると同時に陽の始まりであることから、暦上の年始ととらえて、
「小さな正月」「プレ正月」を意味する「チャグン ソル」(
)あるいは「亜歳」(
)と称することもありました。李氏朝鮮王朝時代、朝鮮半島各地に存在した寺子屋「書堂」(ソダン:
)で冬至が入学シーズンとされていたのも、冬至を境に昼の気運が上向きになるため、
子どもたちが学びを開き聡明に育ちゆくことを願う背景があったといわれます。
■冬至のパッチュッ
韓国の民俗文化では、季節の節目に決まって食べるものを「節食」(
:チョルシッ)と言います。冬至のチョルシッといえば、パッチュッ(
:小豆粥)です。
韓国では昔からパッチュッの赤い色が厄除けを意味するとされ、陰が極まり鬼神の動きが最も活発になる冬至の日に、鬼神を追い出すためにパッチュッを食べる風習がありました。また、冬至以外でも住まいを移したときや家を新築したとき、人が亡くなったとき、伝染病が流行ったり災いがあったときには、パッチュッを食べて家の周りや門の外に撒き、雑鬼を払って無病息災を祈願しました。
韓国のパッチュッのイメージは、日本の小豆料理のような甘い食べ物ではなく、薄い塩味のものですが、近年はほんのり甘くすることも増えました。そして、米粒のほかに白玉団子を入れて煮るところも特徴的です。
パッチュッの一般的な作り方は、以下のとおりです。
@小豆を茹でる。
たっぷりの水に小豆を浸けてから火にかけ、沸騰したら一度茹でこぼし、再び水を入れて豆が柔らかくなるまで茹でます。2度目に入れる水は多すぎないように注意します。
A小豆を粉砕する。
柔らかくなった小豆をザルに上げ、ザルで漉すかミキサーあるいはフードプロセッサーにかけて滑らかになるまで粉砕します。茹で汁は捨てずにとっておきます。
B小豆の茹で汁で米を炊く。
米(もち米またはうるち米、または両方を配合)をとぎ、小豆の茹で汁に浸けてから火にかけ、米粒が柔らかくなるまで炊きます。
C小豆を入れ、味をととのえる。
Bが炊けたところで、Aの小豆あんを入れてかき混ぜまず。濃度をみて、濃過ぎれば水を加えてちょうどよい濃度にし、塩少々で味をととのえます。好みで砂糖も少々加えることがあります。。
D団子を作って入れる。
もち米粉(あるいはもち米粉とうるち米粉を配合)に塩少々と熱湯を加えてこね、小さく丸めて団子を作ります。Cを火にかけながら、団子を入れてゆっくりかき混ぜて火を通します。一度熱湯で茹でておいた団子を最後に入れることもあります。
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