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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国では陰暦4月8日を「プチョニム オシン ナル」(
:お釈迦様のいらした日)として、公休日に定めています。
仏教の開祖ゴータマ・シッダルタの誕生日であるこの日は、日本でも「花祭り」「灌仏会[かんぶつえ]」
などの行事が行われます(ただし陽暦の4月8日)。
ただし、日本では仏教界以外ではあまり知られておらず、キリストの誕生日であるクリスマスと比べると極めて低い認知度といえます。
一方、韓国では朴正熙[パクチョンヒ]政権下の1975年に
「釈迦誕辰日」(
:ソッカ タンシンイル)
という名称で公休日と定められて以来、国暦が陽暦に変わってもこの祝日は陰暦のまま今に至っています。
ちなみに、現在でも陰暦でとり行われている祝日は、
ほかに「ソルラル」(お正月:陰暦1月1日)と「チュソッ」(仲秋:陰暦8月15日)があります。
また、韓国ではクリスマス(12月25日)も公休日となっており、仏教徒・キリスト教徒ともに多く信仰心の篤い国民性が伺えます。
ところで、「釈迦誕辰日」という祝日名については、制定当初より韓国仏教界から「釈迦とは"シャカ"という古代インドの固有の名前を漢字表記したものにすぎない。現在のハングル化の趨勢に従えば"プチョニム オシン ナル"のほうが公式名称にふさわしい」として、祝日名を変えるよう要求が出され続けてきた歴史があります。実際、「プチョニム オシン ナル」のほうが人口に膾炙してきたこともあり、何代もの政権交代を経て現在の文在寅(ムンジェイン)政権下、晴れて2017年10月の国務会議で「プチョニム オシン ナル」への名称変更が議決されました。
なお、日常的にはこの日のことを、「四月初八日」
を意味する「サウォル チョパイル」(
)もしくは単に「チョッパイル」(
)と呼ぶことが多いようです。
2018年の「チョッパイル」は5月22日です。
この日、韓国の寺では午前10時になると一斉に法要が行われます。
「燃灯会」(
:ヨンドゥンフェ)と呼ばれるこの法要は、無明を照らす象徴である提灯(韓国語でヨンドゥン)を灯して祈る年中行事で、
もともと高麗時代から陰暦1月15日に行う風習がありました。
その後、李氏朝鮮王朝時代の廃仏政策や日本植民地化での弾圧を経て、戦後ソウルの曹渓寺で陰暦4月8日に行う提灯行列として生まれ変わると、
曹渓宗の急成長に伴い1996年からは「ヨンドゥン チュッチェ」(
:燃灯祝祭)というパレード形式の文化行事となり、
2012年には重要無形文化財に指定されるまでになりました。
■「お釈迦様の日」の食べもの
「お釈迦様の日」にちなんだ食べものには、次のようなものがあります。どれも、肉や魚を使わない素朴な食べものです。
・ユヨプピョン(
、楡葉餅)
欅の葉の蒸し餅。別名ヌティトッ(
)。柔らかい欅の若葉をすりつぶして餅米粉に混ぜ込み、蒸し上げた餅。
・ポックンコン(
)
炒り豆。黒豆を炒って塩をふったもの。
・ミナリカンフェ(
)
芹の巻きもの。茹でた芹をくるくると巻いて形作り、チョコチュジャン(
:唐辛子酢味噌)をつけて食べる。
・コットッ(
)
花びら餅。山つつじの花を摘み、米粉をこねて薄くのばした生地にのせ、油で両面焼きあげる。
ちなみに日本の仏教界ではこの日、草花で飾った小堂の中で仏像に柄杓で甘茶をかける「灌仏会」という法要が行われます。
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