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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国の食べ物屋さんに入ると、見慣れない食器や調理器具、あるいはその奇抜な使用法に興味が惹かれることがあるのではないでしょうか。
そんな興味深い食器のひとつに、
韓国のご飯茶碗があります。ご飯茶碗は、韓国語で「パプクルッ」(
) といい、パプ(
) はご飯、クルッ(
) は食器をさします。
また、伝統的な呼称として、「チュバル」(
:鍮鉢) という言葉もあります。
パプクルッには陶磁器製、真鍮製、ステンレス製、銀製、石製などがありますが、現代の韓国の飲食店でもっとも多用されているのは、扱いやすくて丈夫なステンレス製のパプクルッです。
安定感のある独特なフォルムをしたこのステンレス製パプクルッは、別名コンギ
(
) 、パプコンギ(
) とも呼ばれます。コンギは漢字で「空器」と書きますが、
このタイプのご飯茶碗のみに使われる言葉です。
コンギは必ず蓋とセットになっており、蓋は本体よりも外寸が大きく、
上からすっぽりとかぶさるため、熱々のご飯を入れても湯気の滴が器の中に落ちないようになっています。
そしてこのコンギにはご飯を目一杯、もしくは山盛りによそうのが韓国式です。そのため、コンギがやや小ぶりに見えても
、蓋を開けると驚くほどたっぷりのご飯が入っています。
韓国の飲食店では、ご飯といえば、
たいていこのコンギに入って提供されます。そのため、日本で言うところの「ライス」は、韓国語では「コンギパプ」
(
) といいます。繁忙店ではしばしば、店がこみだす前に、
熱々のご飯を詰めたコンギを保温庫または保温ジャーに隙間なく並べ入れてスタンバイし、
いざ注文が入ると料理の仕上がりに合わせてそこからコンギパプを出す、というスタイルが見られます。
さらに近年、外面が熱くならず保温性に優れた真空二重構造のステンレス製コンギも販売されるようになりました。
さて、伝統的な韓国の食事は、
一般にご飯を中心にお膳立てされており、ご飯を提供することは言わずとも当然のことでした。
そのため飲食店においても、主たるメニューを頼むと、ミッパンチャン(
)
と呼ばれる小さなおかず数種類とともに、コンギパプが無料でついて出てくるものでした。
ところが、近年は物価の上昇や価値観の多様化に伴い、
そうした食の概念も変わりつつあります。以前は決して見られなかった、「コンギパプ ピョルト」(
:ライス別料金) という店内表示がそれを物語っています。
従来の韓国の飲食店では、ライス代やおかず代を含んだ料理価格設定になっており、
おかわりの注文に対しても無料でサービスするという大らかな風土がありましたが、
近年では少しでも表示価格を下げるために、またライスを注文しない客にも不平等感を与えないために、
ライス代を別料金とする飲食店が増えつつあるようです。
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