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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
今や日本でもよく知られるようになった「サムギョプサル」(
) は、
厚めにスライスした豚バラ肉を焼いて、サムジャン(
) と呼ばれる薬味みそやキムチ、
葱などとともにサンチュやえごまの葉などに包んで食べる、韓国の大衆的な焼き肉のひとつです。
サムギョプサルは「三枚肉」を意味する料理名のとおり、必ず赤身と白身が層になった豚バラ肉が使われます。豚バラ肉は濃厚な旨みとコクのある一方で、脂身が多い部位のため、脂っこさやしつこさを感じさせないようにカリッと香ばしく焼き、焼きたてを食べることがこの料理のポイントになります。
そこで注目されるのが、焼き道具です。
もともとサムギョプサル用には、厚さ5mmほどにスライスした豚バラ肉を使うものでしたが、近年はメニューの高級化・多様化に伴い、肉も四角く大きなブロックを使う傾向にあります。大きなかたまりの豚バラ肉を、専用の焼き網または鉄板で各面を焼き、途中でハサミとトングを使って一口大に切り分けた後、さらに表面が少しこげるまでカリッと焼き上げていきます。
このときの、焼き網・鉄板類をプルパン(
) といいます。
プル(
) は火、パン(
) はフライパン状の平鍋を意味します。
その名のとおり、炭やガスなどのロースターの直火で肉を焼くときに使うのがプルパンです。
サムギョプサル用のものは、特にサムギョプサルパン(
) もしくはサムギョプサルペン (
) と言うこともあります。
サムギョプサルパンはプルパンの一形態といえますが、特に脂身の多いサムギョプサルを焼いていると出てくる油が、焼き面のところに溜まらず脇の方へ流れていくように、傾斜や流出口をつけたり、鉄板に凹凸をつけて焼いている肉が油で浸らないように工夫されています。
少し前までは、テフロン加工された薄い金属板を波状に加工し、流れ出た脂が下に落ちるよう中央を高く縁を低くした、円形または四角形のものが主流でした。現在では、これと同様の中高の形ですが、中腹に細長い穴をあけて肉に直火がよく当たるようにしたり、材質を改良してこげつきにくくしたものが多く見られます。穴がたくさんあいたものは、鉄板と網の中間のような機能があります。
また、厚手の鉄で作った大きめの四角い鉄板で、上面に縞状の凹凸をつけ、下方に斜めのスタンドをつけて鉄板に傾斜ができるようにすることで、肉の焦げつきを防いで余分な脂が流れ落ちるようになっているものもあります。
ほかにも、屋根型に傾斜をつけた長方形の穴あき鉄板や。ステンレス棒をつなぎあわせた網形のもの、餅網のようなもの、石板をはめこんだものなど、サムギョプサルパンまたはプルパンと呼ばれるものには、さまざまな材質と形態があります。
サムギョプサル専門店で見られる業務用のプルパンは、ロースターにぴったり合い熱効率がよく強い火力にも耐える逸品が多いですが、家庭用のプルパンでも、家庭のガスコンロやカセットコンロ、屋外用コンロにかけて手軽に加熱でき、油はねや油煙が出にくいよう工夫されています。
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