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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
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「キーワードで見る食文化」コーナー、宮中料理シリーズ最終回の今月は、宮中料理の代表格、シンソルロ (:神仙炉) をとりあげます。 |
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シンソルロは別名「悦口子湯」(ヨルグジャタン:)ともいい、その名のとおり「口が悦[よろこ]ぶスープ」、すなわち山海のさまざまな逸材をとり合わせ、手間をかけて仕込んだ贅沢な鍋料理です。韓国料理の中でもほかに類を見ない独特な料理ですが、調理法上、「チョンゴル」()のジャンルに分類されています。 |
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シンソルロは、中央に煙突のついた専用の金属鍋「神仙炉」に、下ごしらえした各種の具材を放射状に並べ入れ、スープを注いで煮ながらいただきます。この料理には、李氏朝鮮王朝時代にさかのぼる、次のようなエピソードが残されています。 |
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李朝第10代王・燕山君の在位期間中(1494〜1506年)、国王側近の文官で詩や易学にも通じていた鄭希良[チョンヒリャン]が、たび重なる士禍(王朝による官吏の弾圧)により世俗を疎み、山中に隠れ住む中で、火爐を作って野草山菜を煮炊きしたといいます。その気風があたかも神仙のようだったことから、その火爐は「神仙炉(爐)」と呼ばれるようになった、という話です。 |
それでは、シンソルロの作り方をざっと見てみましょう。 |
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<シンソルロの作り方>
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@牛スープをとる。 |
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牛スネ肉のかたまりを2時間ほど煮て、スープをとります。とったスープは塩、薄口しょうゆで味をととのえておきます。 |
A具を下ごしらえする。 |
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具は鍋のサイズ(煙突から外縁までの幅)に合わせて長方形に薄く切りそろえます。具は次のようなものが一般的です。 |
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牛の赤味肉…鍋のサイズに合わせて薄い長方形に切り、しょうゆ、こしょう、おろしにんにくなどで下味をつけ、小麦粉ととき卵の衣をつけて、油をひいたフライパンで両面を焼きます。 |
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白身魚…卸した身を同様のサイズに切りそろえて下味をつけ、牛肉同様に衣をつけてフライパンで焼きます。 |
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芹…葉をつまみ取り、茎の部分を竹串にきれいに刺して平らに並べ、同様に衣をつけてフライパンで焼き、長方形に切りそろえます。 |
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岩茸…ぬるま湯でもどして千切りにし、ときほぐした卵白と混ぜて油をひいたフライパンで薄く焼き、切りそろえます。 |
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卵…卵白と卵黄に分け、塩少々を加えてときほぐし、別々に薄く焼いて切りそろえます。 |
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干し椎茸…もどして石づきを取り、同様のサイズに切りそろえます。 |
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大根、にんじん…@のスープを煮ている途中でかたまりごと入れ、柔らかくなったら取り出して同様に切りそろえます。
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B上にあしらう具(コミョン: )を作る。 |
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牛ひき肉(または@で切り落とした牛赤味肉のこま切れをみじん切りにしたもの)に塩、こしょう、おろしにんにくなどで下味をつけ、小さく丸めて小麦粉、とき卵の衣をつけ、油をひいたフライパンで転がしながら焼いて肉団子を作ります。 |
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くるみ:湯にくぐらせて薄皮をむきます。 |
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銀杏:殻から中身をとり出し、油をひいたフライパンで転がしながら炒め、ペーパータオルでつまむようにして薄皮をとります。 |
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C鍋に盛りつける。 |
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鍋底に野菜などを切りそろえたときの切れ端を敷きつめ、その上にAの具材を並べ入れる。具は、彩りよく順番に並べ、斜めに少しずつずらすようにして放射状に整然と盛りつける。最後にBと松の実を美しくあしらい、@のスープを注ぐ。 |
D卓上で煮ながらいただく。 |
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食卓に出し、下から炭火やガスで加熱する。グツグツ煮えてきたら、器によそっていただく。 |
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