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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
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韓国料理のジャンルのひとつに、「マンドゥ」( :饅頭 ) と総称される餃子のたぐいがあります。マンドゥは、茹でたもの、蒸したもの、焼いたもの、茹でてから冷やしたもの、熱いスープに入れたもの、などと調理法や材料によりさまざまな種類がありますが、その中に「キュアサン」( ) といって、李氏朝鮮王朝時代に宮中で夏場に作られていた、独特な蒸しマンドゥがあります。 |
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キュアサンの特徴は、まず具にきゅうりの緑色の表皮部分を入れることです。そのため、蒸しあがったキュアサンは薄皮を通してきゅうりの鮮やかな緑色が目に涼しく、またパリパリとしたきゅうりの歯ごたえも身上です。 |
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それから、蒸すときと、蒸しあがったキュアサンを盛りつけるときに、この時期青々と茂る蔦[つた]の葉をふんだんに使うため、ここでも蔦の香りと葉の緑色に象徴される夏の季節感を存分に味わうことができます。 |
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さらにもうひとつ、他のマンドゥとちがうキュアサンならではの特徴として、独特な包み方があげられます。丸い皮の両端を持ち上げて中央でくっつけていくとき、左右にいくつも襞[ひだ]をとってなまこのような形に仕上げるのです。ここから、「ミマンドゥ」(、ミはなまこの意)という別名で呼ばれることもあります。この包み方はやや手間がかかり、美しく仕上げるのが難しくもありますが、でき上がってみると幾何学的でどこか目を惹くものがあり、また盛りつける上でも安定がよく、なかなかユニークな形であることがわかります。 |
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それでは、キュアサンの一般的な作り方を見てみましょう。 |
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皮を作ります。小麦粉に塩少々と水を加えてよくこねた生地を、棒状に延ばして端から小判型に切り、それを直径7〜8cmの円形に薄く延ばします。 |
A |
具を作ります。きゅうりは、3〜4cmに切って皮をくるりと桂むきにし、その皮の部分を千切りにして塩少々でしんなりさせた後、水気をしぼり、油をひいたフライパンでさっと炒めます。
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B |
干し椎茸はもどして千切りにします。牛赤味肉は細かく切り、椎茸とともにしょうゆ、砂糖、おろしにんにく、こしょう、ごま油で下味をつけて炒めます。
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C |
ABが冷めたら混ぜ合わせ、@の皮にスプーン1杯ほどのせ、松の実も1粒のせて、端から襞をとりながらなまこのような細長い形に包みます。
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D |
蔦の葉を敷いた蒸し器にCを入れ、強火で数分蒸します。
(具には火を通してあるため、短時間で大丈夫です)
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E |
新しい蔦の葉を敷いた器に、蒸しあがったDを盛りつけ、小皿にチョカンジャン(酢醤油)を入れて添えます。 |
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