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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国料理の独特なジャンルのひとつに、「マンドゥ」 (
) があります。
「マンドゥ」は漢字で「饅頭」と書き、
刻んだ野菜やひき肉などの具を小麦粉の薄皮で包んだ、いわゆる餃子のたぐいです。
一般に「マンドゥ」というと、
これを蒸籠などで蒸した「チンマンドゥ」(
:蒸しマンドゥ)のことをさします。
ほかにマンドゥのヴァリエーションとしては、水餃子状の「ムルマンドゥ」 (
:茹でマンドゥ)、
油で焼いた「クンマンドゥ」 (
:焼きマンドゥ)、そしてマンドゥ入りのスープ「マンドゥクッ」 (
) があります。
マンドゥクッは、おめでたい料理のイメージがあると同時に、
現代の韓国では四季を通して食べられる大衆的な料理となっています
。また、マンドゥと餅(
:トッ)との両方を入れた欲張りなスープ「トッマンドゥクッ」 (
)も、
マンドゥクッの一形態とみることができます。そして、
マンドゥ文化は特に朝鮮半島の北部地方で発達した歴史があり、平安道[ピョンアンド]地方では、
お正月にトックッ(餅スープ)ではなくマンドゥクッを食べる風習があります。
さて、そんなマンドゥクッですが、マンドゥの中に入れる具の種類や皮の包み方、スープのダシに至るまで、作り方は実にさまざまです。
マンドゥの具には、豚肉、豆腐、春雨、もやし、ねぎ、椎茸などがよく使われます。豆腐はよく水をきって細かくつぶし、春雨やもやしは茹でてから刻んでおきます。その他の材料も細かく刻み、全体をよく混ぜて塩、こしょう、にんにく、ごま油などで下味をつけます。刻んだキムチや玉ねぎ、にらなどを入れることもあります。
次は皮づくりです。マンドゥの皮はマンドゥピ(
:饅頭皮)といって、
日本の餃子の皮のような市販品も多く出回っていますが、
粉から手づくりすることもしばしばあります。小麦粉に塩少々と水を加えて固めによくこね
、しばらく寝かせてから薄い丸形にのばします。薄くのばしてから丸い型で抜くこともあります。
皮ができたら、具を包んでいきます。マンドゥクッ用のマンドゥは、皮に具をのせて半円にぴたりと包んでから両端を引っ張り合わせた、独特な丸い形に包みます。この形のマンドゥを「開城 [ケソン] マンドゥ」といいます。
一方、「開城マンドゥ」と双璧をなす平壤 [ ピョンヤン] マンドゥ」は、手のひらほどのビッグサイズで半月形またはピロシキ状に包みます。
マンドゥづくりと並行して、スープの準備も進めます。スープ(肉水[ユッス])は、牛骨を長時間煮てとった伝統的なものや、鶏でとったもの、あるいは煮干しや昆布、貝でとったあっさりタイプのものなどがあります。スープを沸かして塩やしょうゆ、おろしにんにくなどで味をととのえ、マンドゥを入れて煮えたらできあがりです。マンドゥのほかにねぎやにんじん、牛肉、ズッキーニなどを入れたり、仕上げに溶き卵や錦糸卵、海苔をあしらうこともあります。
そして最近では、家庭でも飲食店でも、手づくりのマンドゥではなく、市販の冷凍マンドゥで簡便にマンドゥクッを作ることも増えてきたようです。
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