HOMEへ
韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
ネンコンクッス
は、
ゆでた大豆をすりつぶして作った冷たい汁に、小麦粉の細麺を入れて具をのせた、
夏向きの冷たい麺料理です。ネン
は「冷」、コン
は大豆、クッス
は麺を意味します。「ネン」をつけずに「コンクッス」
ということもあります。
具はきゅうりの細切りやゆで卵、トマトなどが一般的ですが、ほかにゆで鶏、錦糸卵、エホバッ(朝鮮かぼちゃ)、赤ピーマンなども使われます。総じてシンプルな仕上がりで、塩味のきいた冷たい大豆汁が味のベースとなっています。
朝鮮半島におけるネンコンクッスの歴史は比較的浅く、
19世紀末に編纂された料理書『是議全書 [シウィチョンソ] 』に「コングッス」
が「ケグッス」(
:冷たいごまスープの麺)と並んで出てくるのが、文献上最古の記述のようです。
医食同源の思想が食文化全体に息づく韓国では、「補養食 [ポヤンシッ] 」といって心身を養う滋養豊かな食べものが発達しましたが、中でも暑さが厳しくなり食欲の落ちる7月〜8月にかけて、夏バテせず元気に暑さを乗り切るための補養食がたくさんあります。ネンコンクッスもそのひとつと言えます。
大豆を主材料とするネンコンンクッスは、低カロリーでさっぱりとした口当たりの中に、豊富なたんぱく質、無機質がスープという消化吸収されやすい形で含まれています。
ではここで、ネンコンクッスの作り方をざっとみてみましょう。ネンコンクッスは仕込みにかなり手間のかかる料理ですが、手間ひまかけて作ったネンコンクッスの味は格別です。また、最近はレトルトや袋入りのインスタント商品も出回っています。
<ネンコンクッスの作り方>
@
大豆を一晩水に浸し、たっぷりの水を注いで豆が柔らかくなるまでゆでる。
A
豆を水にさらしながら手でこすって薄皮をとり除く。
B
豆をミキサーに入れ、水少々を加えて滑らかになるまでミキサーにかける。その後、目の細かいザルや布で漉すと、さらに滑らかになる。また、ここで塩味をつける場合もある。
C
できた大豆汁を冷蔵庫でよく冷やす。
D
具を下ごしらえする。
E
麺をゆでる。コシを残してゆであがったら、冷水ですすいでぬめりを取り、水気をきる。
F
器に麺を盛り、Cの汁を注いでDの具をのせる。塩味がついていない場合は、各自で塩をふっていただく。
大豆をミキサーにかけるときは、水を少なくしてやや濃い目に作り、様子をみて最後に水で濃度を調整するとよいでしょう。また、コクのある美味しい大豆汁にするために、白ごまや松の実、落花生などを少量加えてミキサーにかけることもあります。さらに、水のかわりに冷たい鶏スープを加えると、グンと旨みが増します。そして何といっても大事なのは、塩加減です。あらかじめ大豆汁に塩味をつけておくときは、後で麺が加わることや、場合によっては氷も入ること、そして冷たくなると塩味の感じ方が変わることなどを考慮して、ぴったりの塩味に仕上げることがポイントです。韓国では、食べる人が自分で塩をふって、好みの味に仕上げることも少なくありません。
最新のバックナンバーはこちらからもご覧いただけます。
エイ(ホンオ)
ずいき
コプチャン
エホバッ
みずだこ
青とうがらし
えごまの葉
豚皮と豚足
たんぽぽ
干しめんたい(プゴ)
トドッ(つるにんじん)
2006年から掲載しているキーワードバックナンバー一覧が見れます。
TOPへ