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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国における洋食ブームの火付け役ともいえる「ピザ」。1980年代ごろからソウルに姿をあらわした外国系のピザ専門店は、華やかな雰囲気と目新しい美味しさ、手軽さが魅力の宅配チェーン店としてまたたく間に急成長し、今やピザは韓国の子どもや若年層を中心に、押しも押されもしない人気メニューのひとつとなりました。
外国の料理が新しく入り普及していくときに、その国の伝統的な味覚や調理法の影響を受けて変容することがよくあります。これがいわゆるフュージョン料理です。ピザの場合も例にたがわず、韓国ではこの間、さまざまなコリアンテイストのピザが生まれました。
その筆頭が、キムチチーズピザ
。キムチピザ
ともいい、刻んだ白菜キムチをトッピングに加えたものです。
キムチは、いうまでもなく韓国の漬物の総称ですが、漬物であると同時に、
料理の副材料として使えば調味料としての役割も大きく、韓国料理の味の基本をなす複合エッセンスを合わせ持つ、
類まれな食品といえます。そんなキムチのほかに、
玉ねぎ、ハム、ベーコン、ピーマン、オリーブ、コーンなどがトッピングとしてよく使われ、トマトソースをぬった生地にこれらのトッピングをのせてチーズをちらし、
オーブンで焼いて仕上げます。
さて、韓国では家庭でピザを作る場合、市販の
ピザ生地があまり普及していないこともあり、生地からこねて作ることも多いようです。
もともとマンドゥ
(
:餃子類)やカルクッス
(
:手打ちうどん)、スジェビ
(
:すいとん)、餅菓子など、
手作りの生地文化が身近にあった韓国だけに
、ピザ生地をこねることも比較的容易に受け入れられたのかもしれません。
一方で、「トティア」
と呼ばれる小麦粉の薄皮が近年市販されるようになり、手軽なピザ生地としてこちらも多用されているようです。
ついでに、中米ルーツの、元来はとうもろこし粉で作った薄いお焼き「トルティーヤ」が、
韓国でピザやホットサンド、ブリトー、生春巻きのような巻きものの材料として人気を呼んでいる背景にもまた、
包んで食べる、巻いて食べる、のせて食べることが大好きな韓国食文化が滔々と流れているといえましょう。
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