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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
チャンチクッス
は、
そうめん状の細麺にさっぱりとした熱い汁をかけ具をのせた、韓国の麺料理のひとつです。
チャンチ
は宴 [うたげ]、クッス
は麺を意味し、
古くから韓国の結婚式や誕生日、
還暦祝いなどの祝宴で必ずといってよいほどふるまわれてきたのが、このチャンチクッスです。そのような祝宴で麺料理が食べられてきた背景には、
長いもの(麺)は長寿を象徴する縁起のよいもの、
という韓国の伝統的な考え方があります。また小麦粉が貴重だった時代に、
めったに口にできない贅沢な小麦粉の麺を、人生の節目で迎える祝宴でふるまってきた、と見ることもできます。
そんな伝統食のチャンチクッスも、数年前から到来したブームに乗って、手軽でおいしい朝食や昼食、軽食として、あるいはお酒を飲んだあとのシメとして、今ではすっかり韓国の国民食となった感があります。チャンチクッスは韓国の麺専門店や粉食店[プンシッチョム]と呼ばれる韓国式ファストフード店、フードコートなどでも安価に食べられるほか、家庭でも手軽に作られています。最近では麺と粉末スープ、かやくがセットになったインスタント・チャンチクッスや、お湯を注ぐだけのカップ・チャンチクッスなどもスーパーで販売されています。
では、現代版チャンチクッスの特徴をあげてみましょう。まず、麺は小麦粉の細麺であること。よく使われるのは小麦粉の押し出し麺で、日本のそうめんをやや太くしたような乾麺あるいは生麺です。
次に汁ですが、日本の「にゅうめん」あるいは「関西うどん」のような淡白なかけ汁が定番です。だしは、煮干しや昆布、干し海老、貝類でとるのが一般的です。
汁の味つけは塩としょうゆですが、このとき「クッカンジャン」 (
:直訳すると汁しょうゆ)
または「チョソンカンジャン」 (
:朝鮮しょうゆ) という、
日本の薄くちしょうゆのような色が薄くて塩分の高いしょうゆが使われます。
それから具ですが、これも淡白な汁に合った、さっぱりとクセのない素材が選ばれます。よく使われるのがズッキーニ、油揚げ、のり、薄焼き卵、にんじんなどで、それぞれ刻んだり下ごしらえしておいたものを、かけ麺のうえに彩りよくのせます。
そしてもう一つ、チャンチクッスに欠かせないものがヤンニョム
、
ヤンニョムジャン
、タデギ
などと呼ばれる合わせ調味料です。
これは、みじん切りにした生の青・赤とうがらし、粉とうがらし、しょうゆなどを混ぜ合わせたもので、
ほかにみじん葱やごま、おろしにんにく、ごま油などを入れることもあります。
できたてのチャンチクッスのまん中に、このヤンニョムをとろりとのせます。最初はヤンニョムをくずさずに淡白なスープを味わい、途中でくずしながら韓国料理特有のパンチのきいた味を楽しむのが通だとか…。
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