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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
プンオパン
とは、直訳すると「鮒(ふな)パン」。日本の「鯛焼き」そっくりのお菓子ですが、
「鮒焼き」というだけあって鮒の形をしており、サイズは「鯛焼き」より小さめです。
プンオパンは韓国において、
冬場を中心に街角の屋台で3個1,000ウォン(約100円)くらいで売られている、
庶民の人気おやつです。
「オデン」
、
トッポッキ
、ホットッ
などとともに、
安くておいしくボリュームある屋台のおやつとして、
長年にわたり国民的支持を得てきました。
<プンオパンの歴史>
プンオパンの歴史をさがのぼると、19世紀末ごろ日本からもたらされた「鯛焼き」にたどりつくようです。日本では高級魚で縁起ものの鯛をかたどって「鯛焼き」が生まれましたが、韓国では身近で親近感のある淡水魚、鮒をかたどったところが興味深くもあります。
その後、韓国でプンオパンが普及したのは、朝鮮戦争(1950〜1953)後の混乱期でした。当時のプンオパン生地は、配給された小麦粉で糊のように薄くといたものが主流だったといいます。
一説によると、韓国では社会が混乱したり不景気で失業者が増えると、プンオパンなどの屋台が急増するといわれます。手持ちの資金で手っ取り早く開業でき、また屋台飲食が人々に好まれてよく売れるという背景もあるようです。実際、1990年代末の外貨危機(いわゆるIMF経済危機)の際にはプンオパン屋さんが急増し、安くておいしいプンオパンが庶民のお腹と心を満たしたといわれます。
また最近の傾向として、屋台の担い手が中高年層から若い世代へと移行しつつあります。
<プンオパンのバリエーション>
日本の鯛焼き屋さんには、モチモチ生地に特製の小豆餡を尻尾までみっちり入れ、使いこんだ焼き型でパリッと焼き上げる、というような職人気質の老舗が少なくありませんが、韓国のプンオパンのイメージはもう少し軽く、お安いおやつといったところです。
また近年、日本でも鯛焼きや大判焼きにいろいろなバリエーションが出てきましたが、韓国でも小豆餡のかわりにチーズ、ピザ、シュークリーム、チョコ、スウィートポテトなどを入れたさまざまなプンオパンが登場しています。
また形も鮒だけでなく、菊をかたどった「菊花(クックァ)パン」
、
鯉をかたどった「鯉魚(インオ)パン」
、鯛をかたどった「トミパン」
、中に卵が入った「鶏卵(ケラン)パン」
などがあります。
さらに、
日本の「大判焼き」に由来する「オバントッ」
なるものもあります。これは大判焼き状のものから、
どら焼き状のもの、人形焼き状のもの、マフィン状のもの、
ワッフル状のものなどを広くさす名称となっているようです。
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