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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
魚の練りもの(さつま揚げなど)やこんにゃく、大根などを煮た日本の「おでん」は、
いわゆる日本統治時代(1910〜1945)前後に朝鮮半島に伝わり、日本語そのままに「オデン」
と呼ばれて広まりました。
現在の韓国でも「オデン」は
大衆的な人気料理ですが、韓国で「オデン」というと、
料理名というより「魚の練りもの」を意味するようになりました。
1980年代ごろから、同じく「魚の練りもの」を意味する「オムッ」
という韓国語ができると、日本語由来の
「オデン」に代わって「オムッ」という名称が励行されるようになりましたが、
巷では長く耳になじんだ「オデン」
ということばが「オムッ」「テンプラ」
などと混同されて使われ続けているのが実情のようです。
一方で、料理名をいうときは、「さつま揚げのスープ」
という意味の「オデンクッ」
、「オムックッ」
、「オデンタン」
、「オムッタン」
などと呼んだり、「串さつま揚げ」という意味の「コチオデン」
、「コチオムッ」
、
あるいは「オデンコチ」「オムッコチ」などと呼んだりします。また、単に「オデン」ということもあります。
<韓国屋台にみるオデン>
屋台料理がさかんな韓国でも、長年にわたって人気メニューの座を誇るオデン。日本のおでん種[だね]のような多種類スタイルではなく、油揚げのような薄いさつま揚げを長い串にクネクネと刺したものが主流です。一見、関西風おでんの定番、牛スジのイメージと重なります。
汁はほぼ日本のおでん汁と同様のさっぱりとした味ですが、食べるときは串を手に持って薬味じょうゆをつけて食べ、小鉢や紙コップに注がれた汁を飲んだりします。
また、このような屋台オデンのほかに、韓国ではオデンチプ
というおでん専門店も増えてきており、
細長いステンレス製のおでん保温槽をぐるりと囲んだ客席スタイルは「オデンバー」などと呼ばれています。
<釜山オデン>
韓国南部の港町、釜山[プサン]はおでんゆかりの地でもあります。
日本統治時代の1940年代、
朝鮮半島で最初の魚の練りもの工場ができたのが釜山で、
現在、韓国有数の水産市場「チャガルチ市場」
がある一帯にあたります。
新鮮な魚と製造技術に恵まれた釜山で、その後も練りもの工場は次々とでき、それら零細工場によって引き継がれた伝統は現在に至ります。
今でも韓国では「オデン」といえば「釜山オデン」「釜山オムッ」を連想する人が多く、釜山発祥の老舗をチェーン展開した、おでん専門店も登場しています。
<オデン=さつま揚げ を使った韓国料理>
さつま揚げの炒めもの。
一口大に切った薄型さつま揚げを、玉ねぎやにんじん、ピーマンなどの野菜とともに甘辛いたれで炒めます。オムッポックム
ともいいます。
さつま揚げの煮もの。
オデンポックムと似ていますが、煮つけて仕上げます。オムッチョリム
)ともいいます。
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