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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
は鍋料理のひとつで、「煎骨」「氈骨」などの漢字が当てられます。
韓国の鍋料理というと、よく知られたものに
があり、
チゲとチョンゴルの区別がつきにくい部分もありますが、
一般にチョンゴルはチゲに比べると見た目が豪華で具だくさん。
大きくて浅めの鍋に彩りよく材料を並べ、
スープを注いで卓上で煮ながら食べるところが特徴的です。
<チョンゴルのイメージ〜韓国の文献から>
では、韓国の歴代料理書に出てくるチョンゴルに関する記述を、時をさかのぼって見てみましょう。
「季節の野菜、魚介あるいは牛肉などをいろどりよく盛り合わせ、しょうゆで味つけした肉スープで煮る、スープ料理のひとつ。李氏朝鮮王朝時代のチョンゴル鍋(煎鉄器とよばれていた)は、中央がくぼんでおり、そこに肉スープを注いで具を煮ながら食べ、縁の部分は平らになっていて、薄切りの肉を焼いて食べられるようになっていた。チョンゴルは食事膳や酒膳の脇膳として添えられる重要な料理で、すぐに火の通る材料で作られる」(尹瑞石[ユンソソッ]著『韓国飲食―歴史と調理』1984)
「チョンゴルはさまざまな材料を生のまま、あるいは汁が濁るものや火の通りにくいものは下ごしらえしてから、チョンゴル鍋にいろどりよく並べ、味つけしたスープを注いでその場で煮ながら食べる鍋料理で、これをさらに豪華に作ったものが神仙炉[シンソルロ]である」(趙慈鎬[チョジャホ]著『世界の家庭料理/韓国編』1980)
「氈骨[チョンゴル]の起源は不明だが、上古時代、陣中の郡司らが頭にかぶっていた氈笠[チョルリプ]が鉄でできており、陣中では器具がなかったため、自分たちの氈笠[チョルリプ]をぬいで肉や魚など何でも入れて煮るようになった。一般の家でも、チョル氈リプ笠のように鍋を作って肉や野菜などを煮て食べ、これをチョンゴルと呼んだ」(張志淵[チャンジヨン]著『萬國事物紀原歴史』1909)
「焼肉器に、氈笠をさかさまに置いたような形のものがある。桔梗の根、大根、芹、葱などを刻み、中央のくぼみに入れたスープに浸し炭火で熱する。肉は紙のように薄く切ってごま油としょうゆで味つけし、四面の縁で焼く。これを3〜4人で食べる。これがいわゆる“煎鉄[チョンチョル]”あるいは“氈笠套[チョルリプトゥ]”で、 日本から伝来し今では国中に広く伝わる」(著者未詳『雍熙雜誌』1800年代初)
「鍋の名前に氈笠套[チョルリプトゥ]というものがある。氈笠に似ているためこの名がつく。中央のくぼみに野菜を入れて煮、縁の平らなところでは肉を焼く。酒の肴やおかずにもよい」(柳得恭[ユドゥッコン]著『京都雑志』1784)
<いろいろなチョンゴル>
コプチャンとは牛の小腸をさすが、小腸のほかに大腸、胃袋などの内臓類をとりあわせて使うことも多い。コプチャンチョンゴルといえば真っ赤な激辛鍋のイメージがあるが、鍋を火にかける段階では、野菜やきのこ、春雨などを盛り合わせた中央に、真っ赤なヤンニョムで和えた内臓がのっていたり、あるいは内臓のそばにヤンニョムが添えられていたりする。これにスープを注いでグツグツと煮るうちに、ヤンニョムがとけて鍋全体が真っ赤になる。コプチャンチョンゴルのヤンニョムは、たいていコチュジャンをベースにしてにんにく、生姜、葱、しょうゆ、ごま油などを混ぜ合わせて作る。
牛肉、きのこ、葱などをいろどりよくチョンゴル鍋に盛りつけ、しょうゆ味のスープを注いで煮る。
木綿タイプの豆腐を大きめに切り、そのまま、あるいは卵などの衣をつけて表面を油で焼いてから、野菜やきのこ、牛肉、魚介などとともにチョンゴル鍋に盛りつけ、スープを注いで煮る。とうがらしをきかせて辛いスープにすることもあれば、しょうゆベースにすることもある。
野菜やきのこを盛り合わせた中央に、コプチャンチョンゴル同様、ヤンニョムで和えた手長だこをのせ、スープを注いで煮る。
カクセクは漢字で「各色」と書く。色とりどりの野菜やきのこ、肉団子、魚介、豆腐、餃子などを美しく並べ、スープを注いで煮る。どちらかというと、辛くせずにしょうゆベースの味に仕上げることが多い。
中央が煙突になった独特の鍋に魚介、肉、野菜など山海の珍味をぎっしり詰め、スープを注いで煮る。代表的な宮中料理で、チョンゴルのひとつとされる。具はすべて鍋にぴったり入るサイズに切りそろえ、下茹でしたり衣をつけて焼くなど丁寧な下ごしらえをしてから、いろどりよく放射状に詰め、肉団子や木の実などのあしらいを施す。
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