キーワードで見る食文化
韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。

チム
スペーサー

 チム とは、大きく分けて次の二種類の調理法をさします。
①「蒸しもの」。
蒸し器や蒸籠を使い、水蒸気で蒸して仕上げる料理。さっぱりとした味つけのものが多い。
②「蒸し煮」「煮込み」。
じっくりと煮込んだ料理。さまざまな材料で作るが、こってりとした味つけのものが多い。

 韓国料理における「チム」という調理法は大変わかりづらく、①と②はまったくちがう調理法であるにもかかわらず、同じ「チム」という調理法・料理名で呼ばれます。また、②の調理法にあたるものでも、煮もの炒めもの などと呼ばれることもあります。
 では、具体的に「チム」とつく料理にどんなものがあるのか、見てみましょう。

まず、①の「蒸しもの」の例です。
アルチム 蒸し卵
アルチム

プゴチム
日本の茶わん蒸しのように器に卵汁と具を入れ、蒸し上げて作る。ケランチム ともいう。

プゴチム 干し鱈の蒸しもの
干し鱈を一口大に切り、薬味醤油をかけて蒸す。

トミチム 鯛の蒸しもの
鯛の身に色とりどりの野菜の千切りをのせ、蒸す。

テハプチム はまぐりの蒸しもの
はまぐりの身をとり出して刻み、ひき肉や薬味を混ぜて殻に詰め、その上から卵の白身と黄身で別々に飾って蒸し上げる。

ホンハプチム ムール貝の蒸しもの
ムール貝を味つけせずに蒸し、そのまま食べたり、薬味じょうゆをかけて食べる。

次に、②の「蒸し煮」「煮込み」の例です。
カルビチム 骨つきカルビの煮込み
カルビチム
骨つきカルビ肉を柔らかくなるまでじっくり煮、しょうゆなどで味をつけ、にんじんや玉ねぎなどの野菜を加えてさらに煮込む。

チムタッ 鶏と野菜の激辛煮込み
丸鶏をぶつ切りにし、じゃがいもやにんじん、韓国春雨などとともに煮込む。味つけはしょうゆがベースだが、青陽コチュと呼ばれる非常に辛味の強い唐辛子を入れて激辛に仕上げる。慶尚北道・アンドン安東地方の名物料理であることから、アンドンチムタッ とも呼ばれる。

ウソルチム 牛タンの煮込み
牛タンを丸ごと柔らかくなるまで茹でてから、しょうゆ、砂糖などを加えて味がしみこむまでじっくり煮込む。一度冷やしてから薄切りにして食べる。

カジチム なすの蒸し煮
なすに切り込みを入れてひき肉をはさみ、しょうゆなどを加えた煮汁で煮含める。

トッチム 餅の炒め煮
うるち米で作った棒餅を、肉や野菜とともに甘辛く炒め煮にする。




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