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韓国の食文化について、キーワードから読み解いていきます。
食文化の伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ紹介。
韓国料理の奥深さ、味の文化をお伝えします。
ナムル(
)
の意味する範疇は広く、韓国の関連文献を見ると、定義づけに多少のちがいがありますがおおよそ次のような表現となっています。
・
「食べられる草や木の葉の総称。またはそれらを調味し和えたもの」
(李昇熙[イヒスン]著 『国語大辞典』)
・
「別名“スッチェ”(熟菜:
)。
野菜を油で炒めて味つけしたもの、あるいは野菜をさっと茹でて薬味調味料で和えたもの。
おかずとして多く用いる」
(尹瑞石[ユンソソッ]著 『韓国の飲食用語』)
・
食べられる草をすべて“ナムル”というが、実際この“ナムル”という語の使用範囲は非常に広く多様であり、辞書では“食用になる草や木の新芽、葉、またはそれで作ったおかず”と説明されている。食用になる草や木の新芽、葉というと、栽培された野菜や山菜、野草なども含まれる」
(李盛雨[イソンウ]著 『韓国料理文化史』)
・
「ナムルは献立上、欠かせないおかずで、
材料により調理法や味つけが異なる。
和えるもの、炒めるもの、スッチェ
(
:熟菜。 火を通して仕上げたもの)、センチェ (
:生菜。生で仕上げたもの)、チャプチェ
(
:雑菜。いく種類かの野菜、肉、春雨などを炒め合わせたもの)などの種類がある」
(姜仁姫[カンイニ]著 『韓国の味』)
これらを総じて一般的な「ナムル」の解釈としては、「食べられる野草、山菜、木の芽、野菜などの総称、あるいはそれらを調味し和えたおかず」ということになります。そして、それらは大きく「熟菜(スッチェ)」(火を通した和えもの)と、「生菜(センチェ)」(生のまま薬味入りの甘酢や薬味酢じょうゆなどで和えたもの)とに分けられますが、ナムル=熟菜(スッチェ)というイメージもなくはなく、センチェはナムルと並列する野菜料理としてとらえられる向きもあります。
これらは材料名を前につけて「〜ナムル」「〜センチェ」などと呼ばれるほか、「〜ムッチム」
(
:和えもの)、「コッチョリ」
(
:即席和え)などと呼ぶこともあります。
では、具体的にどのようなナムルがあるのか、一般的なものを見てみましょう。
<熟菜(スッチェ)>
:大根のナムル。
細切りにした大根をごま油、塩で炒め煮する。
:わらびのナムル。
乾燥わらびを茹でてもどし、ごま油で炒めてしょうゆ、にんにく、だし汁などで煮含める。
:ほうれん草のナムル。
ほうれん草をさっと茹で、切って水気を絞り、塩、ごま、にんにく、ごま油などで和える。
:ズッキーニのナムル。
ズッキーニを銀杏切りなどにし、塩でしんなりさせて水気を絞り、塩、ごま、にんにく、ごま油などで炒める。
:豆もやしのナムル。
ともいう。豆もやしを茹でて塩、ごま、にんにく、ごま油などで和える。
:もやしのナムル。
もやしをさっと茹でて、豆もやし同様に和える。
:のびるの和えもの。
のびるをさっと茹でて、とうがらし酢味噌や薬味味噌で和える。
:たらの芽の和えもの。
たらの芽をさっと茹でて、とうがらし味噌やとうがらし酢味噌で和える。
<生菜(センチェ)>
:大根の薬味和え。
:きゅうりの薬味和え。
:桔梗の根の薬味和え。
:芹の薬味和え。
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