キーワードで見る食文化
食にまつわる「ことわざ」
2010年は、韓国の「食」に関する ことわざ をご紹介いたします。
ことわざから、日本との文化の違いを見てとることができます。
秋のサンチュは戸を閉めて食べる
スペーサー
 秋のサンチュは戸を閉めて食べる…「秋のサンチュ」とはどんなサンチュなのでしょう?
 ご存じのとおりサンチュは、スーパーなどの野菜売場に「サンチュ」「チマサンチュ」(チマは巻きスカートの意味)という韓国名そのままで、あるいは「サンチェ」「包菜」などという名称で、パックに入って並んでいる野菜です。日本ではサンチュというと緑色のイメージがありますが、韓国にはサニーレタスのような紫系の混じった品種もあります。
サンチュ
 サンチュの歴史は古く、朝鮮半島では三国時代(4〜6世紀頃)から食べられていたといわれます。日本には平安時代ごろもたらされ、「ちしゃ」「掻(か)きちしゃ」「茎ちしゃ」などの和名がありながら、戦後はサラダ菜やレタスなど結球性の「玉ちしゃ」に人気をとられ、「ちしゃ」の消費・栽培が激減して一時はまったく食べられない時代がありました。それが、近年の韓国料理ブームでご飯や焼肉などを包んで食べる食べ方が普及するにしたがい、再び脚光を浴びるようになったわけです。
 さて、サンチュという植物は、病虫害に強く耐寒性・耐暑性とも比較的すぐれているため、韓国や日本では多くの地域で一年中栽培が可能です。半面、栽培に最も適しているのは、実は冷涼な気候。
サンチュ 種まきの時期によって「春まき」と「秋まき」に分かれます。地域にもよりますが一般に「春まき」は、6〜7月に収穫のピークを迎えた後、日照時間×気温が一定値を超える8月にはトウ立ちして花をつけます。こうなると、サンチュの葉は硬く苦味が強まり、食味がぐっと落ちてしまいます。一方、そのころ種をまく「秋まき」は、暑さのひいた9〜11月にかけて青々と茂り、葉肉も厚く、サンチュ特有の苦味と甘味がバランスよくのってきます。これが、「秋のサンチュ」です。
 秋のサンチュは、誰にも見られないように戸を閉めて(鍵をかけて)食べる。美味しいものを独り占めしたい、という欲望は万国共通なのでしょうか。



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