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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
ネンコングッス(
)は、茹でた大豆をすりつぶした
冷スープに冷麦状の細麺を入れた、
いわば「豆乳麺」のことで、ネンは「冷」、コンは「大豆」、
クッス(グッス) は「麺」を意味します。
別名、コングッス(
) ともいいます。
ネンコングッスの一般的な作り方は、次のとおりです。
(1)
大豆を水に浸して薄皮をとり除き、柔らかくなるまで茹でる。
(2)
(1)を汁ごとミキサーにかけて裏ごしし、塩味をつけて冷蔵庫で冷やす。
(3)
小麦粉の細麺を茹でて冷水ですすぎ、器に盛って(2)の汁をかける。
(4)
きゅうりの千切りやトマト、きのこの和えもの、葉大根の水キムチなどを添える。
なお、(2)でミキサーにかけるとき、炒ったごまや落花生、松の実などを加えて一緒にミキサーにかけて汁のコクを出すこともあります。
ネンコングッスは、もともと忠清道(チュンチョンド)地方や黄海道(ファンヘド)地方でよく作られる郷土料理でしたが、次第にソウルへ伝わり、
広く食べられるようになりました。同様の汁を使って、麺を入れずに大豆の冷スープ(
:コンクッ)
にすることもあります。また、黄海道(ファンヘド)では「ススキョンダン ネンコングッス」(
) といって、
小麦粉の細麺のかわりに、もちきび粉を熱湯と塩でこねたきび団子を入れて食べます。
ネンコングッスがいつごろから朝鮮半島で食べられるようになったのかは未詳ですが、文献上では『是議全書(シウィチョンソ)』(1800年代末)に、
「コングッス」が「ケグッス」(
:冷たいごまスープの麺)とともに出てくるのが最初です。
両者とも、タンパク質やミネラルを多く含む主材料(大豆/ごま)
を、すりつぶしてスープにすることで消化吸収率を高め、
しかも冷たくさっぱりとした口当たりで食欲をそそるという、夏バテを防ぐのにもってこいの料理といえます。
「夏場の補陽食」として共通点の多い料理でありながら、高価なごまを使うケグッスが両班(ヤンバン:上流階級)
にたしなまれたのと対照的に、コングッスは庶民の料理として親しまれてきました。
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