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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
キムパプとは韓国式海苔巻きのことで、キム(
)は海苔、パプ(
)はご飯を意味します。
キムパプは伝統的な朝鮮半島の料理というわけではなく、植民地時代に日本からもたらされた「海苔巻き」が韓国ナイズされ定着した料理のひとつです。言ってみれば、キムパプはフュージョン料理の範疇に入るわけですが、ご飯とおかずを海苔で「巻く」というスタイルが韓国の食習慣にフィットしたのか、今となっては老若男女を問わず韓国国民に愛され、すっかり定着した感があります。
では、どのように韓国ナイズされたのか、キムパプが日本の海苔巻きと一番ちがうところは、ご飯が酢飯でないことです。酢を入れることがまったくないわけではありませんが、酢のかわりに塩やごま、ごま油を入れたご飯を使うのが一般的です。
具をみてみると、ソーセージ、卵焼き、にんじん、たくあん、きゅうり、かにかまぼこなどが一般的なもので、キムパプ仕様の細長いかにかまぼこやカット済みのたくあん、ソーセージなどが出回っていることからも、キムパプ人口の多さが察せられます。そのほか、外食産業のキムパプには、キムチやツナ、チーズ、牛肉の甘辛煮などを組み合わせたさまざまな新バージョンが見られます。
韓国におけるキムパプのイメージや具のスタイルは時代とともに移り変わり、街のキムパプ屋さんも変遷を遂げてきました。1980年代くらいまでは、「粉食店(プンシッチョム)」といわれる街角の軽食屋や、「キムパプチプ」といってキムパプだけを作って売る1坪あるかなしかの店で、表面がごま油で黒光りした細長いキムパプが、山のように積み上げられている光景がありました。現在でもこのようなキムパプ屋さんはありますが、1990年代半ばから急速にチェーン展開された、明るく小奇麗なファストフード型「粉食店(プンシッチョム)」が主流の座を占めつつあります。こうした新型店舗では、何種類ものキムパプメニューのほか、丼もの、ラーメン、チゲ類、チャーハン、うどんなど多様なメニューを展開しています。
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