キーワードで見る食文化
韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。

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3月のキーワード チャプチェ
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 チャプチェは、春雨と色とりどりの野菜・肉などを炒め合わせた、韓国の家庭ではきわめてよく作られるおかずです。チャプチェは漢字で「雑菜(チャプチェ)」と書きますが、雑(チャプ)は「数々のものを混ぜ合わせる」、菜(チェ)は「細切りにした食材」あるいは広く「おかず」を意味しています。
 チャプチェの一般的な作り方は、牛肉やにんじん、きのこ、玉ねぎ、きゅうりなどを細切りにして別々に炒めておき、もどした春雨に味をしみこませて最後に全体を混ぜ合わせる、というものです。春雨を炒め煮にしたり、最後に春雨も一緒に炒め合わせるタイプや、肉の代わりに魚介類を入れたり、きのこを何種類もとり合わせたりと、さまざまなレシピがありますが、共通しているのは、ごまやごま油の香り豊かに仕上げるところです。
 朝鮮半島におけるチャプチェの歴史は古く、李氏朝鮮王朝時代の半ばごろから作られていましたが、作り方は現在と違うところがありました。たとえば、チャプチェが出てくる文献で最も古い『飲食知味方(ウムシッチミバン)』(1670年ごろ)では、きゅうり、大根、しめじ、岩茸、椎茸、松茸、緑豆もやし、桔梗の根、うまごやし、かんぴょう、なずな、芹、根木、うど、わらび、ほうれん草、冬瓜、なすなどから何種類かを選んで刻み、それぞれ醤油で炒めておいてから最後に醤油や生姜、ごま油、小麦粉を混ぜたたれをかけるように記されています。春雨が出てこないところと、小麦粉でとろみをつけたたれをかけて「あんかけ」状に仕上げるところが現在とちがうところです。
 その後、『飲食譜(ウムシッポ)』(1700年代)、『閨壺要覧(キュゴンヨラム)』(1795年ごろ)でも同様のチャプチェが登場しており、現在のような春雨を使ったタイプが出てくるのは、1939年の『朝鮮無双新式料理製法(チョソンムサンシンシッヨリチェボプ)』や1942年の『朝鮮料理製法(チョソンヨリチェボプ)』が最初のようです。
 チャプチェは韓国料理において、主菜というよりは副菜として食卓に並ぶことが多く、老若男女を問わず人気のある、国民的な料理といえます。



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