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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
牡蠣は「海のミルク」といわれるほど栄養豊富な食品。中でも亜鉛、銅、カルシウム、核酸、グリコーゲン、セレン、タウリンなど貴重な栄養成分が、牡蠣には豊富かつバランスよく含まれており、老化防止や疲労回復、貧血予防、免疫力増進、動脈硬化予防、美肌、精神安定、抗がん効果などさまざまな効果が注目されています。
世界的に古代から食べられていた牡蠣ですが、朝鮮半島でも古くから食べられており、高麗時代の歌謡「青山別曲(チョンサンピョルゴッ)」(年代未詳)には「海草と牡蠣と貝食べて」という句が出てきます。
牡蠣は他の貝類とちがって、移動せず一か所に留まって生育するため養殖に向いており、朝鮮半島では朝鮮王朝時代初期にあたる1454年、供物用に養殖されたという記録が残っています。その後、従来の投石式養殖法にかわって1960年ごろ垂下式(杭打ち式)養殖法がもたらされると、養殖産業が飛躍的に延びました。現在、全羅南道〜慶尚南道にかけての「閑麗水道(ハルリョスド)」と呼ばれる海浜地帯が牡蠣の名産地ですが、その中心地、統営(トンヨン)では韓国全土の7割もの牡蠣生産高を誇ります。
牡蠣は韓国でも、生食はもちろん、焼きもの、煮もの、炒めもの、蒸しもの、揚げものとさまざまに料理されます。主な牡蠣料理は次のとおり。
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(クルフェ) :牡蠣の刺身。
生牡蠣をチョコチュジャン( とうがらし酢味噌 )やチョカンジャン(酢じょうゆ)につけて食べる。
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(クルジョン) :牡蠣の衣焼き。
牡蠣に小麦粉と卵をつけて油で焼いたもの。 チョカンジャン(酢じょうゆ)につけて食べる。
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(クルポックム) :牡蠣の炒めもの。
葱やにんにく、とうがらしなどの薬味をきかせて炒める。
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(クルバプ) :牡蠣ご飯。
牡蠣を入れた炊き込みご飯。
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(クルジョッ) :牡蠣の塩辛。
牡蠣を塩漬けした後、薬味を加えて漬ける。
その他、白菜キムチやカットゥギ(大根の角切りキムチ)を漬けるときに入れたり、スープやチゲ(鍋もの)にも入れたり、さまざまに調理されます。
また、韓国のことわざに「南陽 (ナミャン) の郡主が生牡蠣を飲むごとく」 (
ナミャン ウォンニム クルフェ マシドゥッ ) というものがあります。 これは仕事などを一瞬の間に処理することをたとえて言うものです。南陽 (ナミャン)
は朝鮮半島中部、京畿道華城市 (キョンギドファソンシ)
の西海岸に面した町で、昔から牡蠣がよくとれたところです。
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