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韓国の食文化について、キーワードから読み解いていきます。
食文化の伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ紹介。
韓国料理の奥深さ、味の文化をお伝えします。
キムチとは韓国語で「漬物」の総称です。韓国では年間を通してさまざまなキムチが漬けられますが、晩秋〜初冬にかけて、一冬分のキムチをまとめて漬け込む作業を「キムジャン」といいます。
キムジャンはもともと、野菜のとれない冬場に備えて大切な保存食であるキムチを漬ける、朝鮮半島の一大風物詩でした。
キムジャンの作業はまず、材料の買いつけから始まります。前々から塩辛、唐辛子、にんにくなどの薬味材料を選びに市場へ足を運び、主材料の白菜、大根などもキムジャンの日取りに合わせて仕入れます。大家族では白菜100株、大根50本といった量で、それに伴う薬味代も相当かかるため、この時期、高騰しがちな野菜価格に主婦は一喜一憂し、職場では「キムジャンボーナス」なる一時金が支給されたりもします。
当日は、親戚や近所の人に手伝いに来てもらい、薬味を切る人、米粉の糊を炊く人、塩漬けしておいた白菜を洗う人、白菜に薬味をはさみこむ人、甕[かめ]を洗う人… と大勢でおしゃべりしながら賑やかに作業します。
韓国気象庁によると、キムジャンの適期は、一日の最低気温が0℃以下、平均気温が4℃以下となる日が続くころがよく、漬け込んだキムジャンキムチは2〜7℃で2〜3週間寝かせると食べごろになるといいます。地域別にみると、寒冷な江原道の山間部(11月中旬)を皮切りに、中部内陸地方→ソウルおよび京畿道→全羅北道・慶尚北道の内陸部(11月下旬)→全羅南道の内陸部(12月初旬)→全羅南道・慶尚南北道の海岸地方(12月中旬)という具合に、「キムジャン前線」が朝鮮半島を南下していきます。
そんなキムジャンも、温室野菜や安い輸入キムチの増えた昨今では、漬ける量も減り、まったく漬けないという家庭も都会を中心に増えてきました。一方で、温度管理が容易なキムチ専用冷蔵庫が出たことで、マンションでも手軽にキムチ作りができるようになったり、貧困家庭や福祉施設のために地域の相互扶助としてキムジャンが提唱されるなど、キムジャン文化は姿を変えながら伝承されているといえましょう。
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