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韓国の食文化について、キーワードから読み解いていきます。
食文化の伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ紹介。
韓国料理の奥深さ、味の文化をお伝えします。
サムゲタン
韓国では、夏至から数えて三度目の庚[かのえ]の日を「初伏[チョボッ]」、四度目を「中伏[チュンボッ]」、 立秋後初めての庚[かのえ]の日を「末伏[マルボッ]」といい、この三つを合わせて「三伏[サムボッ]」といいます。 三伏は、陰陽五行説に基づく選日[せんじつ](吉凶を占う日)のひとつで、一年中でもっとも酷暑期にあたります。
陰陽五行における五行(木火土金水[もくかどごんすい])の対立関係をみると、「火剋金[かこくきん]」すなわち 「火性が高まると金性が剋[こく]されて伏[ふ]す」ということになります。庚[かのえ]とは「金[か]の兄[え]」 であることから、火性のもっとも盛んな三伏は大凶で、種まき、療養、遠出、男女の和合などを慎みます。
さて、この三伏の時期の節食[チョルシッ](季節料理)として、韓国では古くから犬や鶏、牛などを煮込んだスープを 食べる慣習があります。補身湯[ポシンタン](犬肉スープ)、蔘鶏湯[サムゲタン] (丸鶏のおなかに高麗人蔘やもち米、なつめなどを詰めて煮込んだスープ)、ユッケジャン(牛肉と野菜の辛いスープ)、 タッケジャン(鶏肉と野菜の辛いスープ)などです。日本で、土用の丑[うし]の日にうなぎを食べて夏バテを予防するのと 同様の考え方ですが、韓国語ではこの考え方を、「以熱治熱[イヨルチヨル]」という象徴的なことばで表します。すなわち、 暑さの厳しい時期に、熱(火)の性質をもつ犬肉・葱・唐辛子・にんにくなどを、もっとも消化吸収のよいスープという形に して摂取すると、体内の陽気が高まって虚[きょ]を補い、万病退くというわけです。
実際韓国の人々は、真夏に熱くて辛いスープを食べて大汗をかいては、「シウォナダ」(さっぱりした)と言ったりします。 「食べる」という自然な行為を通して、発汗作用を促進し体内の老廃物を排出して新陳代謝を高める、という健康法です。 ここに、「食べることが即ち薬となり健康を保つ」という「薬食同源」の考え方がみられます。
ちなみに、2006年の初伏[チョボッ]は6月30日、中伏[チュンボッ]は7月10日、末伏[マルボッ]は7月20日です。
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